新たな観戦の形に―ベイスターズが感じたビジターライブビューイングが秘める可能性
球団創設8年目を迎えて感じる“地域とともに盛り上がる流れ”
横浜出身で野球少年だったという林さんは、ベイスターズを身近に感じながら育ってきたという。「育ててもらった恩返しがしたい」と一念発起。コンサルタント系の前職を離れ、球界に新たな風を吹かすDeNAベイスターズに入社した。既存の枠に囚われず、「野球」というコンテンツが持つ可能性を最大限に生かしながら、横浜スタジアムを中心とした地域を持ち上げたい。球団内に共通する思いは、徐々に地域にも浸透し始めているようだ。
「地域の方々も非常に協力的ですね。横浜は開港の街ということもあり、新しいものに対して寛容なのかもしれません。昨年8月10?12日に開催された『勝祭(かっさい)』では、週末の2日間、球場に隣接する日本大通りを封鎖してライブステージや飲食・物販エリアが展開されましたが、この時も非常にポジティブな反応をいただきました。
DeNAベイスターズとなって今年で8年目ですが、1、2年目よりも『何か面白いことをしてくれるだろう』と期待していただけるようになったと感じます。街も市民も一緒になって盛り上がっていける。そういう流れが徐々に生まれつつあるのかなと」
今後もファン、そして球界をアッと驚かせるような仕掛けをしていく予定だが、まずは昨年反響を呼んだビジターゲームのライブビューイングを増やしていきたいという。
「僕の理想は、横浜スタジアムが常に盛り上がっていることなんです。プロ野球はレギュラーシーズンが143試合あって、ホームゲームは71か72試合。チームが遠征時はコンサートやイベントが行われることもありますが、できればビジターゲームのライブビューイング開催数を増やしたいですね。春先だったり、休日のデーゲームだったり、ファンの方が集まりやすい時期に開催できたらと思います。
もう1つ、横浜スタジアムに観戦にやってきた方々に、球場やその周辺地域で少しでも長く時間を過ごしていただける努力もしていきたいですね。単に野球を見て帰るだけなら、おそらく滞在時間は3時間くらい。ですが、試合が始まる前や終わった後に、少しでも長くとどまっていたいと思える環境作りが必要だと思います。それは新たなイベントを行うことかもしれないし、球場のある横浜公園の活用の仕方かもしれない。これからも恐れず、新たな取り組みにチャレンジしていきたいですね」
2019年、DeNAベイスターズがどんな仕掛けをしてくるのか。ファンならずとも見逃せなさそうだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)