イチロー、「新型打撃フォーム」を支える幾つもの思い 45歳で目論む「裏切り」

「安易な責任のない意見、そういうものを裏切りたい」

 01年のデビューから続けていた年間200安打は10年で途切れ、2011年は184安打に終わった。翌2012年のキャンプだった。イチローはスイングの際の右足の踏み出しをごくわずかに留める「ノーステップ」に近い打法を試みている。が、途中で踵を浮かせるタイミングの取り方にあっさりと戻してしまった。

「自分のセンスを信じる」。あの時イチローはそっと言った。

 この日お披露目となった打法には、下半身が不安定だと振りまけるデメリットがあり、鍛え上げた肉体がなければ到底無理な改良である。45歳の挑戦者、イチローは言う。

「安易な責任のない意見、そういうものを裏切りたいと思っています」

 単に年齢で判断されることへの反逆のメッセージに続けて、胸奥の思いも吐露した。

「誰かがやったことがあることよりは誰もやったことがないことの方が飛び込んでいくという選択になる」

 新打法を支える幾つもの思い。「裏切り」を目論むイチローが動き出した。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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