広島小園、“ライバル”藤原との対決はまたお預けも…「今日は惜しかった」!?
中学時代には枚方ボーイズで1&2番コンビ、お互いを認め合う2人
心から楽しみにしていたライバルとの対戦……とは言っても、広島のドラフト1位ルーキー小園海斗内野手の名前はスターティングオーダーにはなかった。19日、同じドラ1の藤原恭大外野手が所属するロッテとの練習試合。「自分は出られたらいいんですけれどね。出られるよう頑張ります」。前日に初の対外試合で3打数無安打2三振に終わった小園は、ライバルとの再会を楽しみにしつつ、味わった悔しさを噛みしめてこの日の試合に臨むつもりだった。 しかし、試合は直前の大雨で中止となった。
試合前、小園がロッテの打撃練習をじっと見つめる姿があった。ティーバッティングをこなす藤原、同じタイミングでフリー打撃に臨んでいた安田。2年前の日本代表で、小園は安田と同部屋だった。他チームで戦うかつての“戦友”の姿を目に焼き付けていた。
「おそらく、自分の情報を見てアイツは打ったんだと思います」と小園は言う。 藤原はキャンプの実戦で17打席連続無安打だったが、初の対外試合となった14日の練習試合・中日戦でいきなり3安打を放った。実は、小園がその直前にシート打撃でいきなり安打をマークしていた。「アイツは自分が打つと絶対に打つんですよ。でも、アイツが打っても自分は打てないんですけれどね」と苦笑い。ライバルの実力を素直に認めた。
中学時代に所属した枚方ボーイズでは1、2番コンビを組み、打撃、足と常に競い合う仲だった。昨秋のU18日本代表でも、50メートルのタイムについて藤原が5秒8と答えると、小園は「自分は5秒9。でも走塁は自分が勝っていますよ」と負けん気をあらわにしていた。
互いの力を認め合っているからこそ、闘争心を掻き立てられ、モチベーションも高まっていく。常に注目が集まる中でも、高い意識が持続できているのは他にない存在がいるからこそ。この日、試合の中止が決まると、小園は「もう、この先ずっと対戦できないんじゃないかと思いましたけれど、まだ早いって言われているのかもしれません。ただ……今までは球場に行く前に中止になっていたけれど、今日はベンチにいて試合開始直前でしたから惜しかったですよね」と周囲を笑わせた。
中止後、室内練習場でランニングメニューをこなす藤原のキツそうな姿を見て「頑張れよ」と小園はお尻をポンと叩いた。笑顔で藤原は応え、それ以降近くに行くことはなかったが、小園の言う通り、対戦する機会はこれからいくらでもある。周囲が熱くなりすぎずに、その日が来るまで静かに見守っていようと思う。
(沢井史 / Fumi Sawai)