菊池雄星が適応段階で示す力量 初めて打者と対峙「力むのは別に悪くない」

「力むのは別に悪いことではない」、その理由は…

「投球の7割を占める」とするもう一つの球、スライダーの調整にも重きを置いたマウンドで、菊池が密かに実行したのが「力むこと」ではなかったか――。

 捕手の後ろに置かれたネットの裏にはサービス監督ら首脳陣の目があった。アピールする意識は当然生まれる。「最初は力んだりボールがシュートしていた」と菊池。だが、その「力み」を菊池はこう噛み砕いている。

「力むのは別に悪いことではないと思う。そのタイミング。ちょっと力むのが早くて、一瞬(力の入れ具合が)早いとボールはそのままの軌道で行ってしまう。いい体の使い方をした中で力を入れることができてくればいいボールも行くのかなと思う」

 勝負を分かつ場面では、渾身の力を込めた一投が修羅場を切り抜ける最善の策となることもある。菊池の紡ぐ言葉には余韻が残った。

 球威、制球、軌道……。30球の調整に注がれた周囲の目線の裏で、27歳左腕はしたたかにもう一つの確認事項を消化していた。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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