ゴールデングラブ賞奪回へ―鷹・今宮が向き合うけが防止の取り組みと強い覚悟

派手さはなくとも日本を背負うショートに

「名手」と称される守備でも体に負担がかからない形を模索している。

「特に守備では基本に戻ることを心掛けている。これも自分の身体を考えてのことなんですけど、足をしっかり使って無理のない状態で捕球ポジションに入る。同じように下半身を使って送球へ移る。これが連動してスムーズにできれば身体にはムダなストレスもかからない」

「基本を大事にするというのは、当然のこと。子供の頃から言われてきたこと。でもプロという一瞬の勝負の中で、反応だけで捕球に行き過ぎていたところもあったと思う。身体への疲労も年間を通じれば全然違ってくる。それが打撃や走塁などすべてにおいて好影響を及ぼすと思う」

 三遊間の深い打球に追いつき、強肩を発揮して打者走者を刺すシーンを数多く見た。ファールフライを追ってスタンドへ飛び込んで捕球したこともあった。そういった派手なシーンは減るかもしれない。しかし粛々とアウトを積み重ね、走攻守すべてでチームに大きく貢献する機会が増えることだろう。

 今季からプロ入り以来背負ってきた背番号「2」を変更。アマチュアではショートのレギュラー番号である「6」を選んだ。心機一転だけでなく、日本一のショートになる、という決意表明にも取れるのは気のせいか。

 MLBでは現役引退した今もなお「ニューヨークのショートストップはデレク・ジーター」と言われる。同様に「日本の遊撃手は今宮健太」と語り継がれるようになるため、意志と覚悟は固めている。

(山岡則夫 / Norio Yamaoka)

山岡則夫 プロフィール
 1972年島根県出身。千葉大学卒業後、アパレル会社勤務などを経て01年にInnings,Co.を設立、雑誌Ballpark Time!を発刊。現在はBallparkレーベルとして様々な書籍、雑誌を企画、製作するほか、多くの雑誌やホームページに寄稿している。最新刊は「岩隈久志のピッチングバイブル」、「躍進する広島カープを支える選手たち」(株式会社舵社)。Ballpark Time!オフィシャルページ(http://www.ballparktime.com)にて取材日記を定期的に更新中。

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