球団創設70周年のDeNA、球団史を彩るレジェンドOB土井淳と稲川誠の足跡

1960年代にエース格として活躍した稲川

 稲川誠は立教大学から富士製鐵室蘭を経て、1962年に大洋に入団した右腕。1960年の優勝は知らないが、秋山とともに大洋のエースとして活躍した。1963年に26勝、64年には21勝を挙げている。

 それ以上に有名なのが「1本足打法に変えた王貞治に最初の本塁打を提供した投手」ということだろう。新人だった1962年7月1日、川崎球場で行われた巨人とのダブルヘッダーの第1戦、3回の第2打席で王に右翼席に本塁打を許した。王は荒川博コーチと1本足打法を編み出したが、この試合で結果が出なければ元の2本足打法に戻すつもりだった、とも言われている。被弾した稲川は「世界の本塁打王」が誕生する一端を担ったと言えるかもしれない。

 稲川の現役生活は7年と短く通算83勝だったが、引退後はコーチ、スカウト、寮長と大洋、横浜一筋で勤務。2012年に76歳で勇退した。現役選手の中にも稲川寮長に世話になった選手は多く、今年83歳に迎える。

 3月10日に球団創設の地、山口県下関市のオーヴィジョンスタジアム下関で行われるオープン戦には、選手たちが「大洋ホエールズ復刻ユニフォーム」を着用して試合に臨む。4月13、14日に行われる「70th ANNIVERSARY GAME」には、レジェンドOBとして土井淳と稲川誠も姿を見せる予定だ。

 球団の創設70周年にふさわしい、意義深いイベントだと言えるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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