菊池雄星「まだまだ」 10年MVPからカーブで三振奪取も…煮え切らない理由
10分を超える登板後の会見で1度も「緊張」を使わず
2点を奪われた2回、菊池は「最後いい形で終わりたい」の気持ちを前面に出し、8番パターソン相手にこの日最速の95マイル(約153キロ)の直球を投げ込むと、スライダーで追い込み、最後は94マイル(約151キロ)の直球で内野ゴロに仕留め予定の投球を終えた。
「毎年、スピードが出なかったらどうしようっていう不安が常にあるが、まず初戦で95マイルまで出たということはほっとする材料かなと思う」
軸球への手応えを得た菊池が、言葉を継いだ。
「ちょっと強めに投げて球速的にもいい数字が出た」
22日、2度目の実戦形式の打撃練習に登板した菊池は、「いい体の使い方をした力みであればいいボールが行くと思う」と話している。首脳陣にアピールした“3球勝負”。菊池はその感覚を蘇生させるきっかけとした。
他にも高めの直球が有効なこと、甘く入れば痛打が必ず待っていること、走者を置いてのセットポジションではバランスを欠くなど、実り多き29球だった。
花巻東高時代から憧れた米国のマウンドに臨む前夜は「ガッツリ」と睡眠を取り、試合への入りも「普段通りの調整で入れた」と淡々と話す菊池。10分を超える登板後の会見で、1度も「緊張」の言葉を発することはなかった。
夢舞台へ向けた初めての実戦調整で、27歳左腕は最後まで冷静だった。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)