首位打者はオープン戦でも好調だったのか? 過去8年パ・リーグに見る傾向は

オープン戦打撃不振の選手でも、開幕後にはキャリアハイを記録

 こうやって数字を並べた時にまず目を引くのが、オープン戦出場試合数が1桁と少ない選手が実に半数を占めていることだろう。チームの主力選手は、オープン戦序盤に出場しないケースが多いことも一因とも考えられるが、2012年の角中はやや趣が異なってくる。

 角中は前年の2011年に自己最多51試合出場を果たすも、決してチームの主力とは言えない立場で、オープン戦でも出場機会に恵まれなかった。開幕後もしばらくは出番がなかったが、4月下旬からスタメン出場のチャンスを得られるようになっていった。

 ここをキャリアのターニングポイントとした角中は、水を得た魚のように持ち前の打撃センスを発揮し、一気に5番打者に定着。この年、初めて規定打席に到達しただけでなく、首位打者に輝く大ブレークを遂げた。オープン戦の出場試合数が少ない理由の違いも含めて、なかなか珍しいケースと言えそうだ。

 また、2013年の長谷川、2015年の柳田、2016年の角中は、それぞれオープン戦の打率が2割台前半を記録。この3シーズンに関しては、いわゆる「オープン戦の成績があてにならない」ケースと言えそうだ。

 しかし、それ以外の5年は打数が少ない例こそあるが、オープン戦でも打率.320以上と好調だった選手が、そのまま首位打者に輝いている。オープン戦首位打者が開幕後に苦しむケースはたびたび見られるが、高打率を残した選手が開幕後も好調で活躍し続けることも少なくない。

 移籍初年度のオープン戦でさっそく結果を出し、そのまま史上2人目の両リーグ首位打者に輝いて、球史にその名を刻んだ内川のようなケースもあれば、オープン戦で打率.200と絶不調ながら、開幕後は全試合に出場して198安打を放ち、キャリアハイとなる素晴らしいシーズンを送った長谷川のようなケースもある。

 オープン戦の結果で開幕1軍入りが左右されることもあるが、選手の評価基準となるのはレギュラーシーズンでの成績だ。果たして、2019年に首位打者をつかむ選手はオープン戦はどんな打撃を見せることになるのか。シーズンが終わった時に、改めて開幕前のことを振り返ってみるのも、面白いかもしれない。

(「パ・リーグ インサイト」望月遼太)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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