既存の枠を飛び出して1+1を3や4に広げる――DeNAの新ムーブ発信源「THE BAYS」

野球とクリエイティブさを掛け合わせ、新たなムーブを創造するアクセラレータプログラム

 野球界やスポーツ界が持つ閉ざされたイメージを壊したい。その第一歩として、野球を通じた街づくりを球団のテーマに掲げているが、そのコンセプトに興味を持ち、昨年8月に人材派遣紹介会社から転職したのが、「THE BAYS」の運営を担当する矢野沙織さんだ。「人を楽しませる場所、人が集まりたくなる場所にしていきたいです」と目を輝かせると同時に、新しい展開を継続させるため、常にアンテナを張り巡らせている。旅行で訪れたオーストラリアでも公園やシェアオフィスに出掛け、参考にできるアイディアはないか思案。大洋、横浜時代から続くベイスターズという球団のブランド力を生かしながら、ファンや街の人々の日常が少しでも豊かなものになるサポートをしていきたいと考える。

「横浜スタジアムやTHE BAYSを通じて、人と人とをつなげる場づくりをしていきたいと思っています。スポーツは独特の一体感を生み出せる力を持っている。スポーツ観戦に来てたまたま隣に座った人や、同じ瞬間を目撃してワクワク感を共有した人たちのつながりは特別だと思うんです。例えば、ベイスターズが勝てば、球場ですれ違った見知らぬ人同士がハイタッチをかわしたりする。ああいう一体感を、野球を発信源にして、日常のいろいろな場面で生み出せたらいいですね」

 野球界、スポーツ界に新たなムーブを起こしたい。そう考えるDeNAベイスターズの理念を具現化しているのが、新事業「BAYSTARS Sports Accelerator」(ベイスターズ スポーツ アクセラレータ)だ。2017年12月に行われた第1期公募には、ベンチャー企業から1か月間に約50件のアイディアが寄せられた。第1期プログラム採択企業には株式会社ギフティが選ばれ、電子地域通貨を用いたサービスの提供が検討されている。

 アクセラレータプログラムにも深く関わる林さんは、プログラム参加企業に選ばれたギフティに限らず、数々寄せられたアイディアから「いろいろな刺激や一歩先を見据える視点をもらった」と話す。

「外から受ける刺激は、また新たな発想を生み出す元にもなりますし、私たちが知らないことを知るきっかけにもなる。同じベンチャーマインドを共有しながら、多くのことを学びました。ベンチャー企業同士、あるいは面白い仕掛けを生み出したいと感じる者同士が手を組んで、1+1を3にも4にも増やしていきたい。あまりリスクは恐れずに、既存の考えに風穴を開けて、新しいスタンダードを自分たちから発信していければと思います」

 第2期「BAYSTARS Sports Accelerator」の募集も今後行われる予定。今年はどんなアイディアが寄せられ、スポーツ界の未来を動かすのだろうか。

(佐藤直子 / Naoko Sato)

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