バット改良、オフの節制…ヤクルト青木が後輩・田中氏に語った本音【青木宣親・田中浩康対談・前編】

オフの節制がシーズンを支える 衝撃を受けた元同僚・イバネスの思考

 田中「トレーニングの量が年々、増えているという話もありました」

 青木「30歳を超えてきて、トレーニングの見直しがあったように食事の見直しがあり、やっぱりやっていかないというのがあるからね」

 田中「食事制限もされているのですか?」

 青木「オフの間、していたよ。年齢とともに、オフの使い方がうまくなったかもしれない。前、カンザスシティー(ロイヤルズ)の時、イバネスという選手がいたんだけど……」

 田中「42歳まで活躍されたイバネスですか?」

 青木「そう。2014年にシーズン途中からチームメートになって、20年近くメジャーでプレーした。当時はもう42歳だったけど、体もしっかりしていた。ある日、親切心で小さいチョコレートを持って行ったことがあって、『食べる?』って聞いた。そうしたら、『気持ちだけ、受け取っておくよ』と言われた」

 田中「小さいチョコレートも食べなかったわけですね」

 青木「チョコレート食べないの?と聞いたら、『チョコレート、1個で自分の体がどうなるかがわかる』と。極端かもしれないけど、20年もやる選手というのはそういうところなのかなと思った」

 田中「自分の体を理解しているから、変化に敏感だったのですね」

 青木「そう。長くやる秘訣は何?と聞いた時は、特にオフの節制が大事だと言っていた。シーズン中は野球の練習もトレーニングもやる。けれども、オフにどれだけ節制するかで俺はシーズンの成績は決まると思っている、とまで言っていた。だから自分も、シーズン中は結果を出す、コンディションを整えるという気持ちだけど、それからオフはこれまでと比べ物にならないくらいトレーニングをやるようになった。昔からものすごくトレーニングをやるわけではなかったけど、その分、バットを振っていたり、野球をやっていたりしたんだけど、全体的な仕事量は今の方が断然、多いかな」

(後編に続く)

 青木宣親(あおき・のりちか) 1982年1月5日生。37歳。日向高校(宮崎)から早大を経て、04年にドラフト4巡目でヤクルトに入団。2年目の05年にシーズン200安打を達成。2010年にも達成し、史上初2度のシーズン200安打をマーク。新人王、最多安打2回、首位打者3回、盗塁王1回、ベストナイン7回、ゴールデングラブ賞6回。2011年オフにポスティングシステムを利用し、メジャー移籍。ブルワーズ、ロイヤルズ、ジャイアンツ、マリナーズ、アストロズ、ブルージェイズ、メッツと渡り、昨年ヤクルトに復帰した。06、09、17年WBC日本代表。

 田中浩康(たなか・ひろやす) 1982年5月24日生。36歳。尽誠学園(香川)から早大を経て、05年にドラフト自由枠でヤクルト入団。粘り強い打撃と堅実な守備で活躍した。16年オフに戦力外通告を受けてDeNAに入団。二塁手でベストナイン2回、ゴールデングラブ賞に1回。通算302犠打は歴代5位。noteで有料マガジン「セカンド・ライフ」を執筆中。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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