ロッテ岡田氏が栃木で指導者デビュー 一瞬の世界で生きてきた職人が伝えたいこと

試合後に選手と話し込む岡田幸文コーチ【写真:編集部】
試合後に選手と話し込む岡田幸文コーチ【写真:編集部】

「NPBに一人でも送り出してあげたい。そういう選手を育ててみたい」

 この日のゲームは栃木が1-3でJR東日本に敗れた。両チームとも投手がよく、引き締まった展開。1点がゲームを左右する流れだった。そんな中、栃木は8回の攻撃で「サインミス」があり、チャンスを逃してしまった。反撃できずに、試合は終わった。

「次の塁を狙うというテーマの中で今、取り組んでいます。ですが、8回、『さぁ、追いつくぞ!』という時にサインミス、スチールでアウトになってしまいました。2点差ならば、まだ試合展開がどうなるかわからない。ただ、終盤でミスをしたら勝負は決まりかねない。終盤に追いつこうとする時のミスを極力減らしていきたいですね」

 起きてしまったサインミスを咎めているわけではない。僅差のゲームでは小さな綻びで、勢いを失ってしまうこともある。一瞬の勝負で生きてきた男だからこそ伝えたいことなのだ。

「初めからそうチームがうまくいくわけはありません。個々の選手が持っているものを最大限に生かせるようにしていきたいですね。アドバイスひとつとっても受け取る選手の感覚は違います。褒めて伸びるタイプもいれば、もっともっと(要求をして)と伸びるタイプもいますから」

 試合後も同じ目線に立って、選手とマンツーマンで話し込む姿も見られた。

「教える楽しさもありますよ。能力ある選手ばっかりなので。NPBに一人でも送り出してあげたい。そういう(自分のようなタイプ)選手を育ててみたいですね」

 ロッテファンは、その類まれなプレーをする岡田氏の存在そのものが自分の誇りと思えた。再び、ファンの心も奪い去るようなプレーヤーが岡田氏の手から誕生することを願っている。

(楢崎豊 / Yutaka Narasaki)

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