24歳右腕と対戦したイチロー、米記者に明かしていた「プロ入りした時の目標の一つ」
「その目標が叶ったことは満足感があるって」
「自分がプレーする姿を見ていた子供たちがやがてプロとなり、いつの日か、同じフィールドで一緒にプレーする日を迎えることが、プロ野球選手になった頃のイチローの目標の一つだったと言ってたよ。ユウセイ(菊池)が加入したことでその目標が叶ったことは満足感があるって。日々の鍛錬を積んでその目標に近づいてこられたことは彼の中ではとても大きいようだ」
3打数音無しに終わったイチローはこの日、言葉を残さずにクラブハウスを後にした。1打席目の得点好機に対決した投手が、かつて対峙したポール・クアントリル(50)の子供であったことは知る由もなかった。
「最低でも50歳まではプレーしたい」と言ったイチローが、主催する「イチロー杯争奪学童軟式野球大会」の咋年末の表彰式で、一人の選手から向けられた質問に返した答えが話題になった。12歳の少年は高校卒業後のプロ入りを目指し、イチローと「対戦したい」と言う。その実直な気持ちにイチローは応えた。
「アメリカで待ってます。最短で18歳だから、あと6年でしょ。僕が51歳でしょ、良い番号だね。51までできたら良いけどね」
45歳で挑む19年目の夢舞台――。エゴではなく、次世代への夢を繋ぐ熱を帯びた想いは、日米28年目の春も何ら変わらない。
(木崎英夫 / Hideo Kizaki)