開幕1軍入り目指す西武・伊藤翔 見失っていた姿を思い出させた一言「去年を思い出せ」
「小さくなりたくないのに、小さくなってしまった」
四国IL・徳島インディゴソックスからドラフト3位で加入した昨年、伊藤はどんなときもギラギラした目を失わなかった。指名漏れを経験した高校卒業後、「絶対にプロに行くんだ」という強い気持ちで這い上がってきた。がむしゃらに、そして懸命に投げ続けた伊藤の姿を投手コーチは評価していたようだ。
「うまくまとめようとしてしまっていた。だから自分では腕を振っているつもりでも勝負できていなかった。小さくなりたくないのに、小さくなってしまった。小野コーチから『投げっぷりがない。去年を思い出せ』と言われてから目が覚めた。不器用なくせに、考えすぎていたんです」
アピールのためのまとまったピッチングを意識しすぎるあまり、自分の良さを見失っていたことに気づいた。日々のキャッチボールから意識を変えた。短い時間で修正をはかり、まずはこの日結果を出した。
ルーキーイヤーだった昨年は新人選手の中で唯一の開幕一軍入りを果たし、16試合に登板するといきなり3勝をあげた。だが、まだ20歳になったばかり。真価の問われる2年目は始まったばかりだ。
「このまま開幕まで一軍でやりたい」。本来の自分を取り戻した伊藤がアピールを続けていく。
(安藤かなみ / Kanami Ando)