「打者・大谷」は月を追うごとに細かな修正 アナリストがイベントで明かす

大谷は「打撃フォームを修正した8月は、真ん中付近のボールはほとんどがホームラン」

 また、提言として「データにこだわり過ぎると選手の主体性が失われ、野球の面白さは減少するのでは?」と述べ、「近年のデータ分析の進化によって失われてしまうこともある」という文系ならではの考えも明かした。

「大○半端ないって!」と一見するとサッカーの分析に思えるタイトルで、こちらも大谷選手に関するプレゼンを行ったのはtsuyuponさん。投手と打者、それぞれの月ごとの成績をコース別BABIP(本塁打を除きフェアゾーンに飛んだ打球の安打の割合)などを用いて分析した。

“投手・大谷”については「4月は真ん中周辺にボールが集まったが、5月になると右打者の外角低めに多くなった。それが防御率アップの要因では?」。“打者・大谷”については「打撃フォームを修正した8月は、真ん中付近のボールはほとんどがホームラン」と見解を明かし、細かな修正を月を追うごとに行っている大谷選手の調整力の高さを称賛した。また、「試合結果のデータだけでは“結果”しかわからない。変化球の握り方や足を上げるタイミングなど分析の前段階が必要になってくる」と語り、結果だけではなく過程の分析の必要性を述べた。

 今回のイベントでは、複数の登壇者が印象に残ったプレゼンとして、SHさんの「画像認識技術を使ってフィギュアスケートの回転不足を機械で判定してみた」を挙げた。一般のファンはおろか、選手を指導するコーチでもなかなか見抜くことができない「回転不足」について画像認識技術を使った分析手法を紹介。AIを使った分析を用いるなどして精度を高めることにも成功し、競技力向上へ光を当てた。

 このように従来はアナリストが存在していなかった競技にも、分析手法が登場してきたことで、ますます競技力の向上、そしてアナリストの発展、そしてスポーツ界全体の進化の可能性が見えてきた。

 イベント後に行われた懇親会では、来場者と登壇者が歓談する姿が終了時間まで続いた。スポーツアナリストを目指す人々にとって、今イベントは刺激のある場となっただろう。スポーツデータ分析への興味がより深まっていけば、スポーツアナリストの世界はさらに活性化されていくに違いない。

※今回のイベントで用いられたプレゼン資料などは以下
URL(https://connpass.com/event/113586/presentation/)で公開中。

(「パ・リーグ インサイト」武山智史)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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