米メディアが見たイチローの“変化” 「謎めいた存在」から「愛されて引退」へ

「シアトルに復帰したイチローは全く異なる男だった」

 一方で、マリナーズ時代には“孤高の存在”として報じられることも少なくなかった。特集では「公平のために言うと、自分をさらけだすことは、マリナーズでの彼の仕事ではない。彼はプレーするためにそこにいて、もしかしたら彼ほど野球にひたむきな選手はいないかもしれないが、極めて優れていた」としつつ、「シアトルでは彼は少し謎めいた存在だった。彼はファンにはすぐに愛されたが、チームメートは彼をどう扱っていいか分からなかった。彼はロッカーの前に1人で座り、チームメートとほとんど話さなかった。彼は打ち解けず、メディアに人柄を見せなかった」と、2012年7月までのマリナーズ時代を振り返っている。

 ただ、ヤンキース、マーリンズと移籍し、昨季5年半ぶりにマリナーズに戻ってきたイチローには大きな変化が見られたという。「シアトルに復帰したイチローは全く異なる男だった。彼はより笑うようになり、楽しそうに見えた」「若手選手は彼に引き付けられ、今回は彼も彼らを受け入れた」。若手選手がいかにイチローに敬意を抱き、そして、イチローがチームメートと楽しい時間を過ごしていたかは、現役最後の2試合を見ただけでも明らかだ。

 イチロー自身も引退会見でずっと孤独を感じてプレーしてきたのかを聞かれ、「現在それ(孤独感)全くないです。今日の段階で、それは全くないです」と明かし、「孤独を感じて苦しんだことは多々ありました。ありましたけど、その体験は未来の自分にとって大きな支えになるんだろうと、今は思います」と振り返っていた。確かな変化があったのだ。

 特集では、日本開幕戦を最後に引退するというイチローの決断に敬意を表しつつ、現役最後の瞬間に日本のファンと同僚が見せた反応に「とてもストイックな45歳」が「心から感動しているように見えた」と指摘。そして、2004年にシーズン最多安打を更新した際に本人が「この先これ以上良いことはあるだろうか?」と語ったことを振り返り、「それ以上のことがあると分かった。我々は木曜日(21日のアスレチックス戦)にそれを目にした」と綴っている。

 誰からも愛される選手としてユニホームを脱いだイチロー。そのキャリア、唯一無二の存在感は引退後も輝かしいままだ。

(Full-Count編集部)

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