空振り三振王、見逃し三振王は誰? 1位は両リーグを代表する強打者

今春オープン戦ではヤクルト村上が高い三振率、その内訳は…

 では、三振が70以上で、空振り三振と見逃し三振の割合が大きい打者のランキングをみてみましょう。

○2018年 空振り三振割合ランキング
今江年晶(楽天) 93.4%
外崎修汰(西武) 89.2%
中村剛也(西武) 87.5%
松田宣浩(ソフトバンク) 87.0%
西浦直亨(ヤクルト) 86.7%
ソト(DeNA) 86.4%
中村奨吾(ロッテ) 86.0%

 今江が喫した三振76のうち、見逃し三振はわずか5でした。典型的なフリースインガーで積極的に振りにいくバッティングスタイルです。

○2018年 見逃し三振割合ランキング
嶋基宏(楽天) 37.1%
鈴木誠也(広島) 36.2%
糸原健斗(阪神) 35.6%
筒香嘉智(DeNA) 33.6%
秋山翔吾(西武) 33.3%
坂本勇人(巨人) 32.5%
岡本和真(巨人) 32.5%

 上位3選手の共通点はもともとスイング率が低いということ。特に糸原はスイング率だけでなく、ボール球スイング率や空振り率もセ・リーグ最少を記録しています。しっかりコースを見極めながらのバッティングスタイルであることを示しています。

 なおオープン戦での三振ランキングと空振り三振、見逃し三振の割合は以下の通りです。

村上宗隆(ヤクルト)
23(空振り20 見逃し3)

ブラッシュ(楽天)
18(空振り12 見逃し6)

金子侑司(西武)
16(空振り10 見逃し6)

ゲレーロ(巨人)
16(空振り8 見逃し8)

上林誠知(ソフトバンク)
15(空振り12 見逃し3)

西浦颯大(オリックス)
15(空振り12 見逃し3)

バルガス(ロッテ)
14(空振り12 見逃し2)

 村上は54打席で23三振と43%の三振率を記録しており、そのうちの87%が空振りの三振です。豪快なバッティングスタイルで三振の数が増えていますが、本塁打4本、OPS(出塁率+長打率).866と結果を残しており、今季ヤクルトのサードとして開幕スタメンが期待されています。

 ロッテの新外国人選手バルガスも86%の空振り三振率を喫しています。こちらは打率.095、OPS.483とまだ結果を残していません。なおバルガスの各指標をみると

O-swing%(ボール球スイング率)23.1%
Z-contact%(ストライクゾーンコンタクト率)75.7%
Sw-str%(空振り率)18.2%

 と、まだ対応に苦慮している様子が伺えます。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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