自身初! ハム中田、サヨナラ満弾も浮き足立たず「喜ぶのは札幌Dを出るまで」
満塁の可能性を予測「一番ゲッツーの確率が高い自分に来る…」
■日本ハム 7-3 オリックス(29日・札幌ドーム)
日本ハムの中田翔内野手が29日、オリックスとの開幕戦(札幌ドーム)で劇的なサヨナラ満塁弾を放った。
これほど痛快な幕切れはない。延長10回1死三塁で2番の西川と3番の近藤が申告敬遠。迎えた1死満塁の絶好機に、4番の中田がカウント2-2から147キロ直球を左中間へ叩き込んだ。「打った瞬間、角度がちょっと怪しかったけれど、芯だったので確信した」と、ゆっくりとベースを回る。
ホームベースの10メートル手前でヘルメットを高々と投げ上げて一瞬間を置くと、待ち構えるチームメートの輪にダッシュで飛び込んだ。両足ジャンプでホームを踏むと同時に、祝福の水シャワーを浴び、仲間と抱き合って喜んだ。
意地の一発だった。1死三塁になった時点で、冷静に2者連続敬遠の可能性を予測していた。「あの2人(西川と近藤)はゲッツーがない。一番ゲッツーの確率が高い自分に来るかなと思っていた」と振り返る。実際に目の当たりにして「いい意味で興奮して打席に立った」と集中力を一気に高め、自身初のサヨナラ満塁アーチにつなげた。お立ち台では「ナメているのかなとすごく気合いが入りました」と率直に明かし、大歓声を浴びた。
それまでの4打席は3度走者を置きながら無安打に終わっていた。「開幕戦の緊張があり、自分の中でフワフワした状態だった。ボール球にがっついて、自分でカウントを悪くしていた」と言う。そんなモヤモヤを吹き飛ばす“今季初安打”で自身もチームも最高のスタートを切った。
「個人的にもうれしかったけれど、何よりもいい試合で取れたことに価値がある」。そう胸を張った後で「喜ぶのは札幌ドームを出るまで。明日また切り替えてやりたい」と付け加えた頼れるキャプテンは、開幕2連勝に照準を合わせた。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)