最速125キロの剛腕も現る 20回目を迎えた女子高生たちの“センバツ”

全国高等学校女子硬式野球選抜大会は「加須きずな球場」で開催された【写真:豊川遼】
全国高等学校女子硬式野球選抜大会は「加須きずな球場」で開催された【写真:豊川遼】

4月2日に決勝戦が行われ、神戸弘陵が史上初の連覇を達成

 甲子園球場で行われていた第91回選抜高校野球は、東邦(愛知)が習志野(千葉)を下し、30年ぶり5度目の優勝を飾った。その一方で、女子版の“センバツ”も埼玉県加須市で開催されていた。

 女子の高校野球でも春に選抜、夏に選手権があり、男子同様に女子選手が白球を追っている。去る3月27日から埼玉県加須市で行われていた全国高等学校女子硬式野球選抜大会は今年で20回目を迎え、過去最多となる26校が参加した。

 参加校には花咲徳栄(埼玉)や作新学院(栃木)といった甲子園出場経験がある学校や、札幌新陽(北海道)やクラーク記念国際(宮城)など創部してまもない高校など、その顔ぶれは様々だった。

 メイン会場となった加須市民運動公園野球場は昨年3月に改修工事が完了し、電光掲示板やブルペンなどを備え、名称も「加須きずな球場」に改められた。女子硬式高校野球選抜大会では2015年から使用されており、当球場は「女子野球の聖地」として重宝されている。

 出場している投手の球速は110キロ台が多い中で、クラーク記念国際の小野寺佳奈投手(2年)が31日に行われた神村学園戦で最速125キロを計測するなど球場を沸かせた。打者に目を向けてみると、横浜隼人は積極的な盗塁と小技を使い、相手投手を翻弄。打者が出塁すれば高確率で盗塁を仕掛ける。たとえ相手バッテリーがボール球で外しても盗塁を成功させるという驚異的なスピード野球を武器に戦った。

 4月2日に決勝が行われ、神戸弘陵(兵庫)がクラーク記念国際を破り、頂点に立った。神戸弘陵は前回大会の優勝校で、史上初の2年連続優勝となった。クラーク記念国際は初出場ながら次々と強豪校を撃破し、決勝まで駆け上がった。現在、女子硬式野球部がある高校はおよそ30校。より女子野球界を盛り上げるためにはチーム数を増やすことが課題となる。まだまだ発展への課題は多いが、女子高校野球の選抜大会が始まって20年目を迎えたように野球は確実に男女が共に楽しめるスポーツとなりつつある。

(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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