広島悪夢の10回 1回12失点は延長ではNPB新記録、23年前の11失点横浜超え

広島・緒方監督【写真:荒川祐史】
広島・緒方監督【写真:荒川祐史】

救援の中崎は味方の3失策もあり5失点も自責は0、中田は失点7も自責は3

 4月10日、広島は本拠地マツダスタジアムでのヤクルト戦の延長10回に12失点して敗れた。これは延長戦での1イニング失点記録としては史上最多となった。

 10回のヤクルトは先頭の中村の中前安打から8安打2四死球を畳みかけて12点を奪った。広島の失点は12点だが、名手・菊池涼介二塁手の2失策、一塁手・松山の1失策が絡んだため、投げた中崎翔太は5失点ながら自責点0、続いて登板した中田廉も7失点ながら自責点3だった。3万740人の観客は、カープのあまりにもふがいない大敗に騒然とした。

 延長回での大量失点は、これまで1996年8月9日、横浜スタジアムの横浜-阪神戦で、12回表に横浜が阪神に奪われた11点。それ以前には延長戦で2桁失点したチームは存在しなかった。23年ぶりに更新した。延長戦は、ホームチームがリードした瞬間に試合終了となるため最多失点記録は、すべてロードチームの記録だ。

 延長戦に限らなければ、1イニング2桁失点は、シーズン通して1~2回は見ることができる。広島は昨年5月31日のマツダスタジアムの西武との交流戦で、2回表に10失点している。先発の薮田和樹が10失点と火だるまになった。しかしこのときも一塁松山の失策が絡んだため、自責点は7にとどまっている。広島は7-12で負けている。

 広島は1イニング大量失点記録に“縁”がある。NPBの1イニング最多失点は、10年前の2009年6月11日、千葉マリンスタジアムでのロッテと広島の交流戦、6回裏に奪われた15点だ。この試合はロッテに2-23の記録的大差で負けている。その次が13失点。過去4例あるが、ここにも広島の名前が出てくる。2000年6月7日の横浜スタジアムの横浜戦の5回裏に13失点。試合は9-16で負けている。広島は2010年8月25日の京セラドーム大阪の阪神戦でも、8回裏に10失点している。この時は救援の梅津がまるまるかぶって自責点10。試合は8-22で大敗している。

 昨年も大量失点をした広島だが、ペナントレースでは1位でフィニッシュしている。大量失点しても1敗は1敗だ。まだシーズンは始まったばかりだから必要以上に悲観することはないが、10日の12失点には3つも失策が絡んでいる。ここまですでに17失策。これは12球団最多。一塁松山、二塁菊池、三塁安部が3失策で並ぶ。遊撃田中も2失策。守備の破綻は、チームの士気にも関わる。首脳陣はチームの引き締めを図る必要があるだろう。

(広尾晃 / Koh Hiroo)

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