王貞治氏、松井秀喜氏、大谷翔平らも登場 MLB150年の歴史を凝縮した米誌特別号

150年の歴史が詰まった特別号の巻末に大谷翔平が登場

 しかし、19歳でメジャーデビューを果たしたマントルは33歳で迎えた65年のシーズンで衰えを露呈。かつてない低打率.255と19本塁打に終わる。件の写真は、この年のヤンキースタジアムでの試合で内野ゴロに終わりベンチに引き下がる際のカット。輝きを失った大スターの苦悩をモノクロが浮き立たせている。

 スポーツ・イラストレイテッドは1954年8月の創刊。美術評論家で写真評論家でもある伊藤俊治氏が以前、スポーツ・イラストレイテッドの功績についてこう評していたのを思い出す。

「カメラマンは単なる記録写真ではなく、スポーツそのもののもつ興奮と感情とエクスタシーを撮ることを求められ、スポーツ写真はアートの輝きを帯びるようになった」

 写真と記事によってスポーツを表現することを信条に、言葉以上の新機軸で成功を収めたのがスポーツ・イラストレイテッドだ。

 日本人選手として唯一、同誌の表紙を2度飾っているイチロー氏の記事は今回の記念号にはなく、1977年9月3日にハンク・アーロンが持つメジャーの本塁打記録を超える756号を放った王貞治氏(現ソフトバンク球団会長)が、後楽園球場のベンチ裏で素振りをするシーンを載せている。写真の日付は同年の6月7日。大記録達成の2か月前であり、米国での注目の大きさがうかがえる。

 また、メジャー1年目の春のキャンプで大勢の報道陣を従え、周囲を驚かせたヤンキースの松井秀喜氏も登場。そして巻末を締めるのが二刀流で今後も大いに注目されるエンゼルスの大谷翔平である。同誌の創刊以前の写真を盛り込み、米プロ野球草創期からの150年の足跡をたどる一冊は、メジャーリーグの来歴を見事に映し出している。

(木崎英夫 / Hideo Kizaki)

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