【野球と音楽】仮面女子・猪狩ともかインタビュー 事故から始球式、そして今…力をくれた西武

西武について語る仮面女子の猪狩ともかさん【写真:荒川祐史】
西武について語る仮面女子の猪狩ともかさん【写真:荒川祐史】

怪我を乗り越えて迎えた2度の始球式「球場全体の温かさを感じました」

――そして見事復活を果たし、昨年9月に人生2度目となる始球式を行いました。今度は車いすでの始球式だったわけですが、そこで見た球場の景色はいかがでしたか?

猪狩「そうですね、1回目の始球式は、恐らくほとんどの方が、ライオンズ好きの仮面のアイドルが始球式をやるんだくらいの印象だったかもしれませんが、去年は事故に遭ったことやライオンズが大好きだってこともたくさんの人に知っていただき、球場全体の温かさを感じました。みんなが『頑張って!』って応援してくれて」

――怪我を乗り越えて、球場に戻ってきた仲間を『お帰り!』って迎え入れてくれた。そんな瞬間だったんでしょうね。

猪狩「ライオンズが勝った試合の後にいつも応援団の皆さんが応援歌メドレーを歌うのですが、怪我の公表をした後にその応援歌メドレーで私にエールを贈って下さって、その動画を入院中に見て、すごく感動して……。そのお礼をどうしても言いたくて、始球式が終わってから外野に行ったんです」

――子供の頃から大好きな西武ライオンズが、猪狩さんを助けてくれたり、支えてくれる存在になるなんて、思いも寄らない巡り合わせですよね?

猪狩「本当に夢みたいです。もともと自分が好きで見ていたチームで始球式や国家斉唱まで、信じられないような形で関わらせていただいたり、大変な時に皆さんに助けていただいたり、今でも信じられないです」

――やっぱり、好きなものは「好きだ」と声に出したほうが良いのかもしれませんね。

猪狩「本当にそう思います。『好き』と『夢』は言葉にするのが何より大事です」

――そういえば先日ラジオに出演された際に「車椅子はまだ初心者です」とおっしゃっていましたよね?

猪狩「はい。まだまだ全然初心者ですよ」

――猪狩さんが車椅子で球場まで行くようになって、あらためて気が付いたことってあります?

猪狩「私は西武ドームには車で行くので、車椅子エリアの近くに駐車エリアがあるんですよ。そこから専用エリアまで上がるのですが、ちなみに車椅子エリアにはレオくんとライナちゃんがグリーティングに来てくれるんです。球場で観戦するときはそれも楽しみのひとつになりました」

――猪狩さんと同じように野球を見たいと思っていても、なかなかそこまで一歩踏み出せない車椅子の人たちもいると思うんですよね。最近は各球場のホームページでもバリアフリーに関する情報が出ていたり、個人のサイトでも車椅子で観戦するためのガイドを紹介していますし、誰もが気軽に野球観戦できるような状況が、これからもっと重要になってくるでしょうね。

猪狩「やっぱり車椅子になってから、様々な場所でバリアフリーになっているか気になってチェックするようになりましたね。球場も行ったことのない所がほとんどなので、どんな違いがあるのか気になりますね。でも、どの球場でも車椅子で移動している方がいたら『なにかお手伝いすることはありますか?』ってひと声かけてもらえると、とても嬉しいです」

「ワンマンでライブ仕様の新しい車椅子を皆さんにご披露したいと思っています」

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