日ハム杉浦5回65球完全も降板 栗山監督「体のこともあるので…」
右肩肘の故障に苦しんだことを踏まえ、首脳陣は慎重 杉浦「自分の力不足」
■楽天 4-1 日本ハム(23日・札幌ドーム)
日本ハムの杉浦稔大投手が23日、楽天戦(札幌ドーム)で今季初先発し、5回をパーフェクトに抑える圧巻の投球を見せた。
いきなり奪三振ショーが幕を開けた。初回、1番・茂木を146キロ直球で空振り三振、2番・オコエを149キロ直球で見逃がし三振に斬ってとる。伸びのある直球は最速150キロをマーク。5回まで毎回の9奪三振。そのうち6個が直球で奪ったものだった。「ちゃんと差し込めている感じがありました」と杉浦は手応えを口にした。5回を終えて1?0と勝利投手の権利を得て降板した後、チームは逆転負け。栗山英樹監督は「あれがスギらしい姿。いい形でスタートしてくれた。勝たせてあげたかった」とねぎらった。
今季ここまでとはまるで別人の投球だった。イースタン・リーグでは4試合9回1/3を投げて15安打10失点(自責9 )防御率8.68と打ち込まれていた。最長イニングは3回。16日のイースタン・楽天戦でも先発して1回を投げて4安打3失点(自責2)だった。
右肘と右肩の故障に苦しんだことを踏まえ、首脳陣が慎重にコンディションを見極める中、栗山監督は今回「1回スイッチを入れた方がいい」と球数を制限しての1軍抜擢を決断。杉浦は「僕自身は1軍でも下でも変えて投げているつもりはないですが、環境で多少気持ちの張りは違う。監督がうまく引き出してくれました」と最高のパフォーマンスで期待に応えた。
5回65球での降板に杉浦は「先発で間隔を空けた状態で投げている以上長いイニングを投げなければいけないと思っています。監督、コーチが配慮してくれての判断ですが、そこは自分の今までの力不足」と語った。
これまではキャンプが終わって1か月ほどの時期にけがをすることが多かったという。「(首脳陣が)そこを気にかけてくれて過ごして、この感じはいけそうな手応えがあります。シーズンを通して投げ続けるサイクルができれば大丈夫」と明るい兆しは見えている。
コンディションが良好ならこれだけの投球をするだけに、故障だけは絶対に避けたいところ。今後のローテーション入りについて栗山監督は「体のこともあるのでいろいろ考えながら」と話すにとどめ、慎重に進める考えを示した。
(石川加奈子 / Kanako Ishikawa)