「非凡」も「甘くない」―山崎武司氏が語る高卒ドラ1根尾、小園、藤原の現状
愛工大名電高から中日入りした山崎氏も1年目は「これは無理だな、と」
自身も長らく所属した中日のドラ1根尾を、山崎氏はどう見るか。「開幕1軍だとか、スタメンがどうこうと言われていたけど、それはメディアが言っていただけのこと」と分析。ファームでも苦労している現状には「今はプロのスピードに負けて、洗礼を大いに浴びている。これがプロだというのを経験で見せてもらって、今はそれでいい。早い段階での1軍どうこうなんて、俺は思わない」とし「いまは一生懸命に2軍でやって、試合出て、野球を仕事にして、毎日試合に出る辛さを覚えていくこと。あとはスピードに慣れていくこととかをやっていけばいい」と、2軍でひたすらプロのボール、スピードに慣れ、身体を鍛えていくべきだという。
愛工大名電高から1986年のドラフト2位で中日に入団した山崎氏。自身のルーキーイヤーを思い返し「やれると思って入ってきたけどね、全くついていけなかった。その時は『どうしよう』なんていうことも思えなかったね。『ダメだ、これは。無理だな』と思ったもんね」という。史上3人目のセ・パ両リーグで本塁打王となった山崎氏だが、1軍デビューは3年目の1989年。ファームでの本塁打王や打点王には輝いたが、1軍で頭角を現したのは1995年、本塁打王に輝いたのは10年目の1996年だった。
それほどまでに、アマチュアとプロ野球のレベルには違いがある。球速表示は遜色なくとも、球の質が違うのだと山崎氏は語る。「球のキレが全然違う。球の質が全然違う。ピュッとくるし、差し込まれる。低いと思ったボールがストライクだったり、変化球の曲がりも大きいんじゃなく、キレがある。『これは打てへんな、やっていけないな』と思った。彼らも『プロって凄いな』と思っているんじゃないかな」。
いま、根尾や藤原、小園に必要なのはプロのボールに慣れ、身体を鍛えていくこと、1軍でベンチを温めるくらいならば、2軍で試合にで続けることが大事だと山崎氏は指摘する。「1軍にチョロっと上げるくらいなら、2軍でずっと試合に出しておいたほうがいい。2軍でしっかり鍛えてやっていくほうがタメになる。彼らはオレなんかと違って非凡なものを持っているから、慣れれば、出てくるのは早いと思うけどね」。高いポテンシャルを秘める、球界の宝たち。じっくりと鍛え、数年後、球界屈指のプレーヤーになっていてほしいものだ。
(Full-Count編集部)