「求めれば求めるほど苦しくなって…」ロッテ3年目右腕を襲った突如の制球難
悩みの末に復調の兆し、今季1軍登板目指す右腕・島孝明
井口資仁監督が率いて2年目のロッテは、今季「マウエ↑」をチームスローガンに掲げ、昨季の5位からの躍進を目指している。3月29日の開幕直後は黒星が大きく先行することもあったが、ようやく投打がかみ合い始め、粘り強い戦いを披露。上位チームに食らいついている。
そんなチームの戦力になるべく、2軍で必死に技を磨き、地力を上げる努力を重ねている若手選手がいる。2軍から真っ直ぐ「マウエ↑」に躍進しようと奮闘するロッテ若手スターをご紹介する連載が今季もスタート。第1回は、3年目右腕・島孝明投手の今にスポットを当てた。
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皆さんは、今まで当然のようにできていたことが、突然自分の思い通りにいかなくなったことはあるだろうか。2017年、意気揚々と迎えたプロ1年目の夏。ロッテ島孝明は、制球難の壁にぶち当たった。東海大市原望洋高では甲子園に出場。速球派右腕として時速153キロを計測したダイヤの原石は、3年時に侍ジャパンU-18代表に選ばれ、アジア選手権優勝に大きく貢献した。地元の千葉ロッテにドラフト3位で入団。「さぁ、これから」という時に、まさか、が訪れた。
小野晋吾2軍投手コーチは、当時のことを鮮明に覚えているという。
「試合で登板する1週間くらい前、キャッチボールする姿を見て『あれ、何か変だな』と。首から肩、背中にかけて固まっている感じで、フォームが全く違っていたんです。島が言うには、トレーニングをやり過ぎて張っている、とのことだったんですが、ちょっと嫌な感じがするなと思いましたね」
同年8月26日、イースタン・リーグの敵地ヤクルト戦だった。6回から2番手として登板すると、先頭から3連続四球で無死満塁。なんとか2死まで奪ったが、そこから2連打2四球と失点が止まらず。結局、2/3回で2安打5四球7失点と炎上し、マウンドを降りた。
長いシーズン、誰でも一度や二度、調子の悪い日はある。だが、島はなかなか抜け出せなかった。約1か月半ぶりに投げた10月1日の敵地DeNA戦では、3回途中から登板して1死も奪えず2四死球1失点。当時について、島は「それまでも本当に調子の悪い日っていうのはあったんですけど、ずっと続くことはあまりなくて。それがプロに入ってからずっと続くようになって、悩む日々を過ごしました」と振り返る。