イチロー200安打、田中24勝0敗、大谷165キロ…パ平成に生まれた快挙を振り返る
二刀流・大谷は日本人最速の165キロをマークしメジャーでも活躍
◯大谷翔平投手:日本最速の165キロ(2016年)
高校時代に160キロの速球を投じて大きな注目を集めた大谷は、投打の両方をこなす「二刀流」として日本ハムに入団。2年目から早くもずば抜けた才能を発揮して投手と指名打者の双方で主力に定着し、NPB史上初の「2桁勝利&2桁本塁打」という記録も達成。球界に旋風を巻き起こし、NPBを代表するスター選手への階段を駆け上がっていった。
そして迎えた2016年、故障もありながら投手で10勝4敗、防御率1.86。打者では打率.322、22本塁打、67打点と、ともにハイレベルな数字を残してチームの奇跡的な逆転優勝にも大きく貢献。
そして、あと1勝で勝ち抜けが決まるクライマックスシリーズ第5戦では指名打者を解除して9回のマウンドに上がると、短いイニングということもあって全力投球を見せる。そのボールはNPB史上最速となる165キロを計時し、圧巻の内容でチームを日本シリーズに導いた。史上初の「投手と野手でベストナイン」という快挙に加えてシーズンMVPにも輝き、日本におけるキャリアハイの1年とした。
◯則本昂大投手:8試合連続2桁奪三振(2017年)
則本はルーキーイヤーの2013年に開幕投手を務めて15勝を挙げ、新人王に輝く鮮烈なデビューを飾る。その勢いのままに快進撃は続き、2014年から5年連続最多奪三振、4年連続200奪三振という快挙を達成。平成を代表する奪三振王のひとりとして活躍している。そんな則本の凄味が凝縮されていたのが、2017年4月19日から6月8日まで続いた8試合連続2桁奪三振だ。
同じく平成を代表する奪三振王として“ドクターK”の異名を取った野茂英雄氏が1991年に記録した6試合連続を上回るNPB新記録で、ペドロ・マルティネス氏とクリス・セール投手が持つMLB記録にも並ぶ快挙を達成。則本はこの記録が継続されていた8試合中7試合で勝利投手(残り1試合は勝敗つかず)となっており、まさにエースと呼ぶに相応しい快投を繰り広げた。
◯デニス・サファテ投手:日本新記録のシーズン54セーブ(2017年)
則本が先発としての快挙を成し遂げた2017年には、球界最強の名をほしいままにしていたクローザーも新たな大記録を達成している。サファテは2015年から2年連続でパ・リーグの最多セーブ記録を塗り替えていたが、2017年はより多くのセーブ機会を得てフル回転。防御率1.09という抜群の安定感で、開幕から順調にセーブ数を積み重ねていく。
自身が持つ年間43セーブというパ・リーグ記録だけでなく、岩瀬仁紀氏と藤川球児投手が保持していたNPB記録の46セーブも上回って日本新記録を樹立。最終的には前人未到のシーズン50セーブを超え、年間54セーブという金字塔を打ち立てた。シーズンMVPと正力松太郎賞の栄誉にも輝くなど、まさに歴史的な1年となった。
◯宮西尚生投手:史上初の通算300ホールド(2019年)
左のリリーフとして日本ハムに欠かせない存在となっている宮西は、2008年にプロ入りしてから11年連続で50試合以上に登板してきた。シーズン防御率1点台のシーズンが4度、同2点台のシーズンが5度と安定感も抜群で、3度のリーグ優勝にも大きく貢献。球界を代表する中継ぎ投手のひとりとして活躍を続けている。
リリーフ投手は勤続疲労の影響で調子を崩すケースも多い。ホールドが公式記録となった2005年以降で通算200ホールドに到達した選手は過去3人だけという事実からも、勝ちパターンで投げ続けるのは至難の業という事実が浮かび上がる。
それだけに、毎年安定した投球を続ける宮西の頑丈さは驚嘆に値するものだ。2018年7月6日に通算274ホールドの歴代新記録を樹立すると、その後も数字を積み重ねて2019年4月13日に前人未到の通算300ホールドに到達。2度の最優秀中継ぎにも輝いた鉄腕は、これからどこまでその記録を伸ばしていくだろうか。
以上のように、平成のパ・リーグにおいて生まれた印象的なシーンや歴史的な快挙はいくつもあった。令和という新たな時代においても、人々の心を動かすような瞬間が生まれることに期待したいところだ。