西武4年目愛斗、目の前の結果より描いた未来像 「貫いた甲斐があった」
「覚悟を持ってスイングしろ」岩井監督の言葉で自信を取り戻し打撃は復調
3年夏の県大会の直前にはバッティング練習でバットにボールが当たらなくなるほど大不振に陥った。「ああ、俺の最後の夏も、こんな感じで終わっていくのか。最悪だ」。誰よりも練習をしてきたという自負があったからこそ、ふがいなかった。そんな愛斗の姿を見て、岩井隆監督が声をかけた。
「何を迷っているんだ? 誰よりも練習をしてきたじゃないか。してきた練習は無駄にはならない。覚悟を持ってスイングしろ」
自室に戻り、岩井監督の言葉を反芻した。見てくれている人は、必ずいる。指揮官の言葉をきっかけに、再び自信を取り戻した。翌日のバッティング練習では柵越えを連発。そうして迎えた夏の県大会では打率.455と大暴れで甲子園出場に貢献すると、甲子園の大舞台ではランニングホームランを放つなど強烈なインパクトを残した。その年にドラフト4位で西武から指名を受け、憧れのプロの世界に飛び込んだ。
「(初安打は)1回しかない。でもそこは通過点。そこを打つことが目標じゃない」
目指すものは1本のヒットではない。まずはレギュラー奪取、そして球界を代表する打者になることが目標だ。「獲れるタイトルは全部ほしい」と大きな野望を口にすることも恐れない。未来の自分を作ることができるのは今の自分だけだと分かっているからこそ、悔しかった経験も財産に変えることができる。愛斗のプロ野球人生は、まだ始まったばかりだ。
(安藤かなみ / Kanami Ando)