セ・リーグで唯一新人の1軍登録がない中日 ドラ1根尾&ドラ2梅津の現在地は?

ドラ2梅津は「入団した頃の大谷翔平」と小笠原2軍投手コーチ

「まず、王(貞治)さん。ピッチャーが足を上げた時にはもう一本足で待っていた。とにかく始動が早い。必ず打ちに行って、ボールと思ったら、やめる。だから、フォアボールも多い。あとはイチロー。彼も打ちに行く。ただ、すごいのは少々のボール球でも打ってしまう。だから、フォアボールは少ない。でも、ヒットは増える。やめずに振るから」

 世界のホームラン王か、稀代のヒットメーカーか、どちらを目指すべきか。

「その間だね。『根尾』を作ればいい」

 ドラフト2位の梅津晃大は1月に右肩を故障し、キャンプは別メニュー。そこから地道にリハビリをこなし、1イニングずつではあるが、2軍で2試合に先発。自責点はゼロだ。しかし、東洋大学の同級生たちは先を走っている。ソフトバンクの甲斐野央は開幕から13試合連続無失点の新人記録を樹立した。

「甲斐野の力はずっと見て来たので、活躍すると思っていました。ただ、その能力をきっちり発揮できるのがすごいです」

 DeNAの上茶谷大河の登板は寮でテレビ観戦している。

「同じ先発ですし、特に刺激を受けています。1軍相手に立ち向かっている姿を見て、僕も頑張ろうと」

 梅津の今を小笠原孝2軍投手コーチが語った。

「ストレートは非常にスピンが利いています。スピンが多いと、よく飛ぶと言われますが、力もあるので、バッターを押し込めています。ただ、確率が低い。回転軸が斜めでシュート成分が多く、球が抜ける。また、引っ掛けることもあるので、上下より左右にばらつく傾向です」

 変化球はどうか。

「スライダーは『キュッ!』と音がしていると思うほど鋭く曲がる。すごいブレーキです。1軍で十分通用しますが、やはり確率の問題ですね」

 今後のステップは慎重だ。

「次は50球がめど。怪我明けなので経過をしっかり見ないと。投げた翌日、その翌日と反動をチェックしています」

 タイプは誰か。

「入団した頃の大谷(翔平)ですね。(宮崎)フェニックスリーグで見ていますが、体形やフォームだけでなく、球の荒れ方まで似ている。素材は間違いないです」

 ドラフト1位と2位、2人の現在地。それは、まだ1軍に近いとは言えない。戦いが始まっている以上、新人の今の力は大きい。しかし、重要なのは彼らの「最終到達地」に違いない。2人が咲かせる花はきっと大きく美しい。その日まで待つ。中日ファンに焦りは禁物だ。

(CBCアナウンサー 若狭敬一/ Keiichi Wakasa)
<プロフィール>
1975年9月1日岡山県倉敷市生まれ。1998年3月、名古屋大学経済学部卒業。同年4月、中部日本放送株式会社(現・株式会社CBCテレビ)にアナウンサーとして入社。テレビの情報番組の司会やレポーターを担当。また、ラジオの音楽番組のパーソナリティーとして1500組のアーティストにインタビュー。2004年、JNN系アノンシスト賞ラジオフリートーク部門優秀賞。2005年、2015年、同テレビフリートーク部門優秀賞受賞。2006年からはプロ野球の実況中継を担当。現在の担当番組は、テレビ「サンデードラゴンズ」(毎週日曜12時54分~)「High FIVE!!」(毎週土曜17時00分~)、ラジオ「若狭敬一のスポ音」(毎週土曜12時20分~)「ドラ魂キング」(毎週金曜16時~)など。著書「サンドラのドラゴンズ論」(中日新聞社)。

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