ロッテ本拠地でシートスポンサーとなった企業の狙い 効果は意外なところに…

濱田重工君津支店管理部長・溝口幸雄さん【写真:(C)PLM】
濱田重工君津支店管理部長・溝口幸雄さん【写真:(C)PLM】

君津支店の組織に舞浜営業所があり、ZOZOマリンスタジアムはほぼ中間に

 九州の企業が千葉の球団を選んだ決め手は、濱田重工は国内に10拠点、海外に1拠点あるなか、最も大きな支店である君津支店の組織に舞浜営業所があり、ZOZOマリンスタジアムは、この2つの拠点のほぼ中間にあるという“地縁”があったことにある。昨年、創業120周年という節目を迎えたこと、ZOZOマリンスタジアムが改修され新たにダグアウトボックスを設置されたという両者の記念が重なるというタイミングだったことがあり、千葉ロッテ側からの打診に応えるかたちで、スポンサー契約が成立した。

ダグアウトボックス席【写真:(C)PLM】
ダグアウトボックス席【写真:(C)PLM】

 濱田重工には明確なもう1つの目的があった。それは「千葉県内の高校生やその親御さんからの知名度を上げ、就職志望者を増やしたい」ということだ。「球場に来場する方、テレビ・インターネットなどで試合を観戦される方、高校野球の地方大会で球場を使用される方に幅広く弊社を知っていただき、高校生からの応募増加を期待しています」と溝口さんは話す。年間観客動員数を年々伸ばし、しかも球場へのリピート率が他を圧倒しているロッテとZOZOマリンスタジアムであれば、企業名を目にする機会も多いに違いない。

 設置をしておよそ2カ月が経過したが、千葉ロッテファンの反応はどうだろうか。「3月6日のオフィシャルスポンサー契約締結後、弊社のホームページアクセス数が大幅に延びました。全国の千葉ロッテファンの皆さまからは、『なぜ濱田重工が千葉ロッテマリーンズのオフィシャルスポンサーなのか?』『本社は北九州市でも、千葉県君津市に事業所がある企業だからか』という声があり、弊社に興味を持っていただくきっかけにもなりました」と溝口さん。

 それから、熱いロッテファンからこんな嬉しい声も寄せられたのだという。「3月6日に千葉ロッテのファンクラブの濱田さんから『私と同じ名前がネーミングライツになり嬉しい。ダグアウトボックス席で観戦してみたい』と弊社ホームページの連絡先に温かいメッセージをいただき、嬉しく思いました」千葉ロッテを応援したい気持ちは、全国に拠点を置く濱田重工の社員もそうだろう。

ダグアウトボックス席で社員が観戦した様子【写真提供:濱田重工】
ダグアウトボックス席で社員が観戦した様子【写真提供:濱田重工】

 濱田重工では福利厚生として1ボックスを取得し、社員たちにも積極的な観戦を呼びかけている。自社名が球場の目立つところに堂々と掲げられるのを見れば、野球観戦も普段と違った景色に見えるだろう。観戦シートのネーミングライツは、ただ知名度向上と広告作用を狙っているだけでなく、数字に表れぬ多方面での効果があるのだ。

(「パ・リーグ インサイト」海老原悠)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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