元DeNA久保康友、メキシコで“ホームレス”危機 球団が必要書類を用意せず…
すでに入居から1か月経過「いつになったら野球に集中できる環境を…」
メキシカンリーグのブラボス・デ・レオンに所属する元DeNAの久保康友投手が“ホームレス危機”に瀕している。チームが、久保が住んでいる物件の契約に必要な書類を入居から1か月以上経った今も用意しておらず、家賃も支払いが滞っていることから、大家が管理会社を通じ「契約必要書類が用意されず、未払いが続く場合は弁護士を立てる」と警告。今後も家賃が支払われない場合は退去を命じられることになる。メキシコでは賃貸契約を結ぶ際には会社の定款のコピーや納税を証明する書類などを用意しなければならないが、球団は書類に関しても用意しておらず、杜撰な体制が浮き彫りとなった。
久保はすでに、住居のエレベーターに乗るためのカードの使用が一時停止させられるなど、生活に支障をきたしており、チームの金回りの悪さが選手の生活を直撃。チームメートである元中日、オリックスのマット・クラーク内野手、元ヤクルトのカルロス・リベロ内野手らほかの外国人選手も、チームが家賃を支払わず、大家から約半月に渡って支払いを催促され続けていた。久保は「いったいいつになったら野球に集中できる環境を整えてくれるのか。この先、きちんと家賃や給料を期日に支払ってくれるのだろうか……」と、苦笑いだ。
チームは昨年オフ、運送会社からテレビ局へとオーナー会社が変わり、同じリーグの北地区にあるスルタネス・デ・モンテレイと同じ会社がオーナー企業となったばかり。モンテレイを拠点とするオーナー会社はテレビ局のほかにも新聞社、ラジオ局も経営するなど、財力はあり、モンテレイでは給料日にきちんと選手たちに給料が支払われているが、レオンではこれまで2回続けて給料が1週間以上遅れて支払われており、5月15日の給料日にも一部の選手には支払われず。そのため同日、社長、GMが試合前に選手たちに謝罪。さらに翌16日には球団オーナーが現場を訪れて給料支払い遅れの解消を約束し、プレーオフに進出した場合はボーナスを支払うことを伝えるなど、ニンジン作戦に出たが、契約に住居が盛り込まれている助っ人選手らは目先の住宅問題解消を訴えている。
メキシカンリーグでは給与支払い遅延は珍しくないと言われるが、遅れても1日程度。家の契約に関してもこのようなケースは珍しく、今季のレオンの実情を聞いた他球団関係者からも「これは酷い」と、驚きの声が上がっている。
チームにはGM、マネージャーの2人しか現場の事務作業に携わる人がおらず、経理担当者もいないことも原因の1つ。レオンのチーム防御率は、16日時点で南北両地区合わせ、16チーム中最下位の8.40。開幕から中継ぎ陣が打ち込まれ続けていることから、GMらは選手獲得交渉に追われており、ほかの仕事まで手が回っていないのが現状だ。チームは開幕から約1か月半で投手陣の顔ぶれが 半数以上変わっており、さらにこの10日間で新たに6選手を獲得。それでも13勝23敗で南地区8チーム中6位と借金は増えるばかりで、開幕前のチーム編成の失敗が、開幕から約1か月半が経過した今も、いまだに尾を引いている。
(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)