「ファンあってのプロだから」タイガーマスクが熱弁する原辰徳の“魅力”【第3弾】

「佐山さんと原さんに、すごく共通点を感じるんですよ」

――今季の好調もブレない強さがあるからでしょうか。

「それもあるでしょうね。ただ、今までの監督時代と比べると、今年はちょっと違った色を出していますよね。一見するとハチャメチャというか(笑)。でも、これも1つの手なのかな、と思います」

――1つの手、ですか。

「あのね、天才って何をやるのか分からないんですよ、突然。初代タイガーマスクの佐山聡さんもそうなんです。『10年先を見ている人だ』ってずっと言われていたんですけど、突然、訳の分からないことを言い出すんですよ。聞いていても、頭の中で想像がつかない。『は? 何を突然言い出しているんだろう?』って。でも、10年前に佐山さんが言っていた話が、今こうやって総合格闘技の普及という形で実現されているんですよ。当時、UWFで佐山さんがレガース(脛当て)を着け始めたら、周りには『そんな訳の分からないものを』と馬鹿にされていた。それが、今ではプロレスラーでも格闘家でも当たり前になって、お前は蹴りを使わないだろっていう選手まで着けているんだから(笑)。

 佐山さんって、そういう先見の明があったし、天才って自然と先を見ているんですよね。今現在は理解されないかもしれないけど。原監督も同じだと思うんです。今やっていることに対して、周りは不満や批判の声を上げるかもしれないけど、数年後の巨人を見た時には正しいことなんじゃないかって。僕、佐山さんと原さんって、それぞれとお話をさせてもらって、すごく共通点を感じるんですよ。だから、僕は2人とも好きなのかなって思う時もある。それくらい似ていますね」

――先を見る感覚が、似た雰囲気を醸し出すのかもしれません。

「先を見ているし、人を惹きつける魅力がすごいんですよ。同じプロとして話をさせてもらって、お2人はすごく尊敬できるし、感銘を受けますね。一度、原さんにも佐山さんと似ているって話をしたら『いやいや、そんなことは』って謙遜してましたけど、ソックリですよ」

――となると、数年後の巨人が楽しみですね。

「だと思いますよ。よく、原監督は生え抜きを使わずに、外部から補強するって言われますけど、これも聞いたことがあるんです。『監督、どうして外から補強するんですか?』って。そしたら、こう仰有ってました。『まず、野球は勝たなければならない。育てるのは必要だけど、1年や2年で育つもんじゃないんだよ。やっぱり年月は掛かる。私が監督になった時、選手が育っていなければ、そこから育てないといけない。でも、監督になった以上は、結果を出すことが求められるから補強する。その補強を見て、元々いた選手が悔しいと思った時、そこから競争がスタートするんだ』って。決して生え抜きを蔑ろにするんじゃなくて、自然な競争を生み出している。理に叶っていますよね。

 選手のフォローは、普段はコーチに任せるそうです。監督は常に意見すると言葉に重みがなくなるから、いざという時にだけ声を掛ける。そうすると選手が発奮するんだって」

――深いですね。

「そうなんですよ、深いんです。これは勉強になりましたね。僕たちの世界でも若い選手がたくさん出てきていますから、彼らに声を掛ける時に参考になります」

18年連続18回目の出場「スーパーJr.」 目指すは6月5日・両国国技館での決勝

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