【田澤純一コラム第9回】「もうひと花咲かせるために…」 メジャー昇格を目指す32歳・田澤純一の今

引退の上原浩治氏から直接報告「わざわざ僕にまで…」

 このトレーニングを続けられる環境がカブスにあったことも幸いです。オープン戦ではいい感じで投げられて結果も出ていましたが、3月末に契約解除。これまで結果を出してもチームに残れない選手を何人も見てきたので、その厳しさは分かっているつもりでしたが、やっぱりメジャーは甘くありません(苦笑)。だからこそ、再契約してもらえたことを光栄に思います。

 カブスと再契約した後、球団の意向もあり、僕は開幕後もアリゾナのキャンプ施設に残って調整を続けました。そこではストレートの回転数を上げるため、真っ直ぐ狙いの若手選手を相手に真っ直ぐを投げ続けました。もちろん、3Aともなればストレートだけでは打者に勝てません。打者との駆け引きや配球の組み立てなどは、1試合1試合精度を上げていきたいと思います。

 今年はイチローさん、上原浩治さんと、一緒に野球をさせていただいた先輩方が引退されました。2013年にレッドソックスで共に世界一を経験した上原さんは、わざわざ僕にまで直接引退の連絡を下さいました。光栄なことです。そもそも、僕にとってイチローさんや上原さんと同じグラウンドに立てたこと、それこそが光栄以外の何物でもありません。11年前に思い切って渡米したから得られた経験です。引退なさるのは寂しく思いますが、ご本人が決めたこと。僕から贈れる言葉は「お疲れ様でした」なのか、「ありがとうございました」なのか、「おめでとうございます」なのか。いろいろなものを背負いながらプレーしてきたお二人から、たくさんのことを学ばせていただきました。

 40歳を超えて野球を続けられる選手や、自分で引退を決められるところまでプレーし続けられる選手は一握りしかいません。僕は正直、自分が40歳になってマウンドに上がっている姿を今、想像することはできませんが、1日1日、1試合1試合を積み重ねながら、少しでもその領域に近付けるように頑張っていきたいと思います。

 そしてもう1人、僕が刺激を受けている先輩がいます。昨年まで沖縄で一緒に自主トレをしていた楽天の青山(浩二)さんです。3歳年上の青さんが活躍する姿を見ると、僕もまだまだ負けていられません。もうひと花咲かせるために、マウンドでアピールし続けていきます。

(田澤純一 / Junichi Tazawa)

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