胃がん発見から2年、完全復活を目指す広島赤松の現在地 「まだ本物じゃない」
同じ病と闘う人々に「勇気や希望を与えられる立場だと思っている」
「何年もプロでやっているので、ここ(2軍)では若手に出場機会が多いのは勿論、僕も分かっています。限られた中でどれだけ状態を上げていけるかが大事。プレーできない時間の中でも若い子たちに技術、経験を教えることもできるので、その部分でも自分の役割は果たしたいなと思っています」
胃がんを克服しプレーできる状態に戻ったが、赤松が目指す場所は1軍の舞台。これまで多くの声援をもらってきたが恩返しの場は「最高の舞台でプレーすること」と決めている。
「結果を残していないのに1軍に上がるのは違うと思うので。やっぱり2軍で成績、結果を残して『赤松さんならしょうがないでしょ』って若い子たちからも思われないと。もし、変な形で1軍に上がることがあれば一生懸命やっている選手に失礼ですから。多くの声援を頂いたファンの方々にも1軍の舞台でプレーする姿を見せて、初めて恩返しができる。それが最高の恩返しになると思っているので」
赤松以外にもプロ野球界では阪神・原口文仁が「大腸癌」、オリックス・安達了一は「潰瘍性大腸炎」の病を乗り越えグラウンドに戻ってきた。
「復活を目指しているのは僕だけじゃない。がんは2人に一人に見つかる病気だと言われてますから僕も癌と分かった時は正直、泣きましたよ。でも、その段階で分かったから今もこうしてプロ野球選手としてやっていけている。悲観する必要はないと、『早く見つかって良かった』と思えるぐらいに前向きに捉えてほしい。同じ病を戦っている人たちに勇気や希望を与えられる立場だと思っているので1軍でプレーする姿を届けたいですね」
1軍は現在、リーグ4連覇に向け怒涛の勢いで勝利を重ね首位をキープしている。満員のマツダスタジアムで再び背番号「38」がグラウンドを駆け回る姿を誰もが待っている。
(橋本健吾 / Kengo Hashimoto)