大谷、価値ある押し出しに感情露わ トラウトも称賛「間違いなく素晴らしい」
トラウト敬遠で満塁→大谷が同点押し出し四球「燃えたっていうのはない」
■エンゼルス 10-9 アスレチックス(日本時間6日・アナハイム)
エンゼルスの大谷翔平投手は5日(日本時間6日)、本拠地アスレチックス戦に「3番・DH」で2試合連続スタメン出場し、4打数2安打1四球でメジャー自己最多の4打点と活躍。10-9でのサヨナラ勝利に大きく貢献した。4回に逆転3ランを放つと、8回にトラウトの異例の申告敬遠で満塁となった後、押し出し四球を選んで同点に。逆転弾と同様に試合を左右する重要な場面となった。
珍しいシーンだった。フルカウントからの6球目。大谷は外角低めへの直球を見送ると、ピッチャーとは反対方向を向いて雄叫びを上げ、バットを放り投げてから一塁に向かった。いつも冷静な「打者・大谷」が感情を露わにした。
その直前、1点を追うエンゼルスが2死一、二塁のチャンスを作ると、アスレチックスはトラウトを申告敬遠で歩かせた。そして、左腕バクターにスイッチ。異例の敬遠策に球場は騒然となった。大谷はこのときの心境を「塁が埋まっている状態で歩かされた経験がなかったので、すごい新鮮な感じはしたんですけど、いい集中力で臨めたかなと思います」と振り返っている。ただ、決して「燃えた」わけではないという。
「いや、燃えたっていうのはないですね。それだけ(トラウトは)素晴らしいバッターですし、敬遠するという選択肢があるのが普通じゃないかと思うので」
そして、同点に追いつく押し出し四球を冷静に選んだ。
「あの場面は本当にワンポイントで僕を抑えに来ている継投なので、ボール先行になるのはあまり考えづらかったんですけど、際どいボールも見逃しましたし、欲を言えば3ボール1ストライクのボールはしっかり捉えたかったんですけど、そのあと切り替えてしっかりボールを選べたのは良かったと思います」
「嬉しかったですね、素直に。もらったフォアボールというよりは獲ったフォアボールなので、個人的にはホームランより嬉しかったです」
「ピッチャー心理はやっぱり甘くてもストライクに投げるというが、ましてや僕を抑えるために出てきてるワンポイントなので、そこでフォアボールを出して代わるのがピッチャーとしては一番良くない仕事じゃないかなと思うので、ストライクに来る確率の方が高い中でボールを選べたっていうのはよかったかなと思います」
ホームランより嬉しかったという心境が、まさに感情となって仕草に表れたようだ。
歩かされたトラウトも「間違いなく、あの打席でオオタニは素晴らしかった。(満塁の場面で)四球を記録したんだから」と称えた価値ある打席。チームを勝利に導く大きな四球だったことは間違いない。
(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)