中日京田、屈辱の開幕スタメン落ちから学んだ“アライバ”の教えとは

シーズン序盤は空回り、どうしても克服しなければいけなかった課題は「勇気を持ってストライクを見逃すこと」

 悪循環に陥った京田は、すがる思いで1通のメールを打った。「何もうまくいかないときはどうしたらいいですか?」。相手は師匠のような存在。入団から2年間、二遊間を組んでいろはを教えてくれた荒木雅博・現2軍内野守備走塁コーチから、諭すようなメッセージが届いた。

「京田が今年で終わるかもしれない選手であれば、何かを変えなければいけないけど、そんな選手じゃない。今だけを上手くいくようにごまかす事は、将来の野球人生の為にはならないと思うよ。将来の自分の為だと思い、全て受け入れ、今取り組んでいる事を続ける事ができれば弱いチームのレギュラーではなく、強いチームのレギュラーになれるよ」

 若手時代に苦労を重ね、不動の二塁手として竜の黄金期を支えた名球会員の言葉は重かった。今取り組んでいる事を愚直に続けること――。京田は今季、どうしても克服しなければいけない課題と向き合ってた。

 1年目は18、2年目は19。いずれもチームで規定に達した打者の中では最も少ない四球数だった。俊足を生かすには塁に出なければ始まらないが「どうしてもヒット、ヒットと打ちたくて仕方なかった」と早打ちに走った過去2年の反省があった。

「勇気を持ってストライクを見逃すことも大事」

 解決につながるきっかけをくれたのが、くしくも現役時代の荒木コーチとともに鉄壁の二遊間を誇った前巨人コーチの井端弘和さんだった。メディアを通して伝わってきた言葉を、何度も反芻して胸に刻み込んだ。

 打てそうな球に闇雲にバットを出すのではなく、追い込まれることを恐れない。投手の攻め方を思い描きながら、球を見極める。すると、今季は56試合消化した6月7日の時点で、すでに四球数は15。過去2年間2割台だった出塁率も優に3割を超えている。まだ満足のいく数字には遠いが、「フルカウントから甘い球が来ることも多い」との発見もあった。

 偶然にも重なった「アライバ」からの精神的、技術的な道標。開幕直後の思い詰めた表情の京田はもういない。1軍首脳陣に姿勢で示し、あとは数字で納得させるだけ。まだ80試合以上を残し、取り返す時間は十分にある。「この経験がシーズン終わった時にプラスだったと思えるように」。夏、そして秋を迎えるころには、遊撃の座に堂々と君臨してみせる。

(小西亮 / Ryo Konishi)

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