元DeNA荒波翔の今 メキシカンLの強豪で躍動中「お金では買えない経験」

首位争いのティファナ戦は因縁のカード、元NPBのナバーロやオビスポが退場に

 意識しているのは出塁、そして得点だ。相手投手の情報は、メキシコでプレー歴の長いチームメートに聞くようにしているといい「こっちの選手は四球で出塁することはあまりいいことではないと思っているようですが、僕のようなタイプは安打も四球も一緒。日本では1試合で最低1安打、1四球で2度出塁することを心がけていましたが、それはメキシコでも同じ。日本のように相手投手の球種やボールの軌道が分かっていないと、追い込まれてから粘るのは難しいですが、塁に出て得点することが自分の役割ですし、こっちの投手は日本人よりもコントロールが良い訳ではないので、とにかく出塁することを考えています」と明かす。

 北地区の上位争いは熾烈だ。8チーム中、資金力のある強豪3チーム、モンテレイ、ティファナ、アセレロス・デ・モンクローバが首位争いを繰り広げており、3位のモンクローバも39勝21敗で首位とわずか1ゲーム差。勝率6割5分以上の位置に3チームがひしめく大混戦だ。ティファナとは昨年から乱闘が多く、因縁のカードとなっているといい、12日(同13日)のティファナ戦でも試合がヒートアップ。警告試合となり、監督、ヘッドコーチ、元ロッテのヤマイコ・ナバーロ外野手、巨人、日本ハムでプレーした守護神ウィルフィン・オビスポ投手の計4人が退場となった。だが、首位ターンとなったこともあり、選手たちは前向きだという。

「ティファナ戦は日本にはない独特の雰囲気で、緊張感があった。後味の悪い結果になったので、雰囲気も悪くなるかなと思ったら、監督が試合後、ミーティングを開き『前半戦を1位で終えることができたことを誇りに思ってほしい。ここまで頑張ってきた証しだ』と、ポジティブなことを言ってくれた。日本だと連敗したりすると雰囲気も悪くなるが、こっちの選手は引きずらないし、サバサバしている。チームの一体感は日本のほうがあるが、こっちの選手は切り替えがうまいのがいいところだと思います」

 リーグはオールスターを挟み、8日間の休みを経て、21日から後半戦が始まる。もちろん目指すは、4位以内に出場権が与えられるプレーオフ進出、そして優勝。荒波は、日本よりも過酷で広大なメキシコの環境の中で、後半戦も走り続ける。

(福岡吉央 / Yoshiteru Fukuoka)

RECOMMEND