なぜ交流戦で毎年パ・リーグが強いのか セ・リーグ球団との違いとは…

ヤクルトは昨年、どのようにしてパ・リーグの強打者を抑えたのか

 だが、球団ごとで見ると、その年によって交流戦で好成績を収めるセ・リーグのチームもある。昨年のヤクルトはまさにそれだった。12勝6敗と6つの貯金を作り、勝率1位に。昨年、セ・リーグで勝ち越したのはヤクルトだけだった。1軍バッテリーコーチを務めていた野口氏は、どのようにパ・リーグの打者を抑えようとしたのかを明かす。

「去年のヤクルトが成功したのは、それ(スイング)をなるべくさせないように、バッターの嫌がるところに球を配すことができからです。どれだけ振ってもインコースが苦手なバッターはいるわけで、怖がらずにどんどん(内角を)突いていった。そうすると、インコースを意識してくれて、外角のストライクからボールになる変化球をどんどん振ってくれた。去年うまくいったのはそういう形で、ヤクルトだけは貯金を6つ作れました」

 とにかく“スイングをさせない”――。そのために、怖がらずに内角を突くことは不可欠だったという。もっとも、これがセ・リーグ勝ち越しの“セオリー”になるかといえば、そうとは限らないとも野口氏は指摘する。

「去年、ヤクルトが成功した方法は短期決戦用。例えば、ヤクルトがパ・リーグのチームになったとして、1年間それをずっと続けることができるかと言ったら、それは無理でしょう。交流戦という、1か月間しかなくて、しかも1チームと3試合しかやらないという、そういう試合だからこそできたものだと思います。交流戦の戦い方として間違ってないのかもしれないですが、全球団がそれをやったところでうまくいくとも限らないとは思います」

 もちろん、各球団にとって「リーグ勝ち越し」というのは、目標ではないかもしれない。自分のチームがしっかりと貯金を作ることが重要で、ペナントレースを考えれば、むしろ“独り勝ち”というのが理想的なのかもしれない。ただ、15年でパ・リーグが14度勝ち越しという状況は、セ・リーグにとって不名誉な記録であることは確か。それでも、昨年のヤクルトの戦い方は一つのヒントにはなるものの、セ・パの“立場”が逆転することはしばらくないのではないかと、野口氏は言う。

「去年はたまたま、バッターの嫌がることが『インコースを意識させて、外の変化球を活かす』というところでしたが、それは対戦チームにもよりますし、投げるピッチャーにもよります。バッターが嫌がる内容はそれぞれ違うので、去年のヤクルトのような勝ち方をしようと思ったら、そのやり方を各チームが毎年しっかり見つけていけるかどうか、となります。なので、(根本の解決策としては)セ・リーグ球団が同じような方向で追いかけていかない限り、交流戦で毎年パ・リーグが強いというのはしばらく続くんじゃないかなと思います」

 選手や首脳陣にとっても、応援しているファンにとっても、6月に負けが多くなるという現状は決していいものではないはず。来季以降、セ・リーグは“意地”を見せられるだろうか。

(Full-Count編集部)

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