約2万人を動員した「YOKOSO 桃猿」 チアが見た台湾プロ野球とパ・リーグの未来

「チア目線」で感じる台湾野球の魅力

 今回筆者は、PLM発のチアチーム「Pacific League Girls」として球場を訪れた。昨年は北海道日本ハムのファイターズガールとして訪台しており、今回が2度目のイベント参加となった。

 桃園棒球場でパフォーマンスを行う上で常々感じることは、チアに対するファンの注目度の高さである。普段、自分たちが普段踊る機会のない場所で行うパフォーマンスというものは、どうしても「アウェー状態」になってしまうものだが、桃園棒球場のステージに限っては全くの例外だ。ステージに立った瞬間から、大勢のファンからの期待に満ちた視線と声援が痛いほど感じられ、今までに味わったことがないほど強烈な「ホーム感」を味わうことができる、非常に珍しい場所なのである。これは「チア」という存在がチームの一員として広く受け入れられており、また多くのファンから注目されている証だろう。

 応援のスタイルも日本と台湾では大きな違いがある。筆者が昨年まで活動の場としてきた札幌ドームにも、桃園棒球場と同じく一、三塁側スタンドに応援ステージがあり、レフトスタンドと連動して内野からも応援を行うスタイルが定着してきた。だが一般的に日本のプロ野球では主に応援席が外野に設けられており、内野席でチアと共に汗を流しながら応援をしてくれるファンは決して多くはない(内野席での立っての応援が禁止されている球場もある)。

 一方、桃園棒球場は内野のLamigoファンが総立ちで、チアの動きを完全にコピーし、歌い踊りながら目の前にいる選手たちへと声援を送る。スタンドが一体となり熱狂的なエールを送る様子はまさに鳥肌ものであり、何度体験しても、言葉では言い表せない感動がこみ上げるのだ。

 応援の形はそれぞれであり、正解や不正解はないが、Lamigoファンの情熱的な応援は台湾野球の大きな魅力のひとつと言えるだろう。そして、その応援は間違いなくチームの活躍に直結しており、選手一人ひとりにとって必要不可欠なものであると自信を持って言える。

 実際に、Lamigoの応援を見てその魅力に取りつかれてしまう日本人は多い。特に今年はキャンプからオープン戦期間にかけてLamigoとパ・リーグ球団の交流試合が多く開催され、そこで初めて目にしたLamigoの応援に対する驚きや感動の声はSNSでも散見されている。

 そして本イベントでも多数の日本人ファンが桃園棒球場に駆け付け、現地のファンに混じって楽しそうに応援をする姿を幾度も目の当たりにし、形容しがたいうれしさで胸がいっぱいになった。国が違えど、野球に対する思い、応援する心は同じなのだと実感することができた大変貴重な2日間であった。

イベントを通して見えた未来

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