MLB欧州初開催の歴史的一戦は大盛況 「謎だらけなスポーツ」が成功した理由

ロンドンシリーズ第1戦で先発したヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】
ロンドンシリーズ第1戦で先発したヤンキース・田中将大【写真:Getty Images】

両軍点を奪い合う大乱戦にもファンは熱狂、ブーン監督は「観客席はエネルギーに溢れていた」

 また英国人の中に野球が静かに浸透した原因の一つに、両国の言語が同じ英語であるということがある。だから、ワトフォード在住のネイサン・パーさんのように「テレビ中継を見てベースボールにハマった」と言うファンも多かった。

 当然の話だが、アメリカのMLB中継も英語で行われる。たとえルールが分からなくても、英国人ならテレビを見ていてばアナウンサーや解説者の言うことは理解できるというわけだ。

 もしもこれがフランス語やドイツ語だったら、こうはいかなかっただろう。テレビで未知のスポーツを外国語で語られては、見続けることは難しい。

 また、英国とアメリカが同じ言語を共有しているということに関しては、プレーボール前に行われた両国の国歌斉唱でも改めて実感することができた。

 同じ英語を話す、言葉の壁がないという事実は、英国で野球のファン層を広げる大きなアドバンテージとなっている。それなら、シェークスピアの国、演劇の国であることを誇りにしながら、ハリウッド映画に夢中になるのと同じように、若い世代にクリケットも野球も両方好きだという人間が増えてもおかしくない。

「ニューヨークで見たメッツとマーリンズの試合は19イニングで1-0。それに比べたら最高だ」

 初戦終了直後に笑いながらそう話してくれたのはロンドン在住のアラン・ジョブさん。リック・ポーセロ、そして我らがマー君こと田中将大のエースを筆頭に、両軍投手陣が急造グラウンドに戸惑い総崩れとなり、16人のピッチャーが繰り出された4時間42分の試合。野球通なら“大凡戦”と断じる試合も、ロンドンのファンは生でMLBを観戦した喜びに溢れる表情で帰路に着いた。

 ヤンキースのブーン監督は、両軍合わせて30得点を記録し、午後11過ぎからとなった初戦後の会見で「いつもこんな試合ばかりだと思われては困るが」と苦笑まじりに釘をさしながらも、「クリッケットは週末に2~3日かけて試合をやる。英国人はそれに慣れているから良かった。観客席はエネルギーに溢れていて、本当に素晴らしい雰囲気だった」と語り、乱打戦にだれず、お祭りムードを貫いたロンドンの観客に感謝した。

ムーキー・ベッツとメーガン王妃がハグする場面も

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