「野球で世界を平和に」西アジアカップをスリランカで開催する意義と日本の貢献

西アジアカップのグループ分け一覧【画像提供:スリランカ野球協会】
西アジアカップのグループ分け一覧【画像提供:スリランカ野球協会】

「テロがあったからこそ、『野球で世界を平和に』という目標に向けて進んでいける」

 インド洋に浮かぶ小さな島国のスリランカ。今回の西アジアカップ開催国に選出された理由は野球場があるという利点もあるが、1番は国の情勢が安定しており、安全であることだった。今年4月に起きたテロの影響もあり、一時期は大会の開催も危ぶまれたが、現地のスリランカ野球協会は開催を決めた。

 その理由についてスジーワ氏は次のように語っている。

「今回の西アジアカップはテロがあってから初めてスリランカで開催する国際大会です。スリランカはテロがあったからこそ、大会を実施することで『野球で世界を平和に』という目標に向けて進んでいけるからです」

 同時にスジーワ氏は宗教面からも大会の開催意義を強く感じているという。4月に起こったテロの主犯はイスラム過激派の人間だったと報じられている。この情報を受けて「大会に参加するパキスタンやイランもイスラム教の国ですが、こうして国際大会に参加することで、世界が平和であるというメッセージを送りたいのです」と強調していた。

 このように今年の西アジアカップは、ただの野球の国際大会ではない。東京五輪出場がかかるということもあるが、スリランカがテロから立ち上がり、平和に向けて走り出していることを世界中に伝える重要なものとなる。このために全日本野球協会の山中正竹会長をはじめ、スリランカ代表の野中寿人監督、円滑に試合を進行させる小山克仁大会審判長など日本人も大会をサポートする。

 ちなみに20日に行われる決勝戦は「Sri Lanka Baseball」のFacebookページで生中継する。東京五輪や野球を通じて世界平和を目指す選手達の奮闘に注目だ。

(豊川遼 / Ryo Toyokawa)

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