「ちょっとずつNYに近づいてる」―開幕直後に3Aで大暴れした加藤豪将の現在地

3Aでホームランを量産できた理由は…「逆方向へ打つのは前から得意」

 一方で、アクティブ・ロースター25人に入っていないメジャー契約選手が多くプレーする3Aは、加藤のようなマイナー契約の選手にとっては難しい舞台。メジャー契約の選手の起用が優先されるからだ。さらに、ヤンキースに怪我人が続出している状況は加藤にとってはチャンスとも見られていたが、主力が戻ってくれば、弾き出されてマイナー降格となったメジャー契約選手が再び3Aでプレーすることになる。となれば当然、3Aの枠も埋まってくる。

 加藤は打率.305、OPS.923と好成績だった5月16日(同17日)に初めて2Aに降格。確かに2週間前より数字は落ちてはいたが、地元記者は「不運」「被害者」と伝えた。さらに、トレントンのパトリック・オズボーン監督は「彼には成績が問題ではなかったと伝えた。ロースターに空きがないという仕方のない状況によるものだ。3Aには保険のためにメジャー経験のある選手たちが入っていて、ゴウスケが降格することになった」と地元メディアに話していた。その後は、約1か月半で2Aと3Aを計4度も行き来するハードな前半戦となった。

 もっとも、本人は「3Aと2Aを行き来するのは別に本当にどうでもいいと思っています。いるチームで結果を出すしかない。3Aはメジャー経験者だったり、40人枠の選手がいるので、どうしてもそういう選手が優先になってしまうので、2Aでしっかり結果を出して3Aに上がりたいと思います。(シーズン)初めに3Aに入れて、そのチャンスを与えてくれただけでも嬉しいんですけど、そこで結果を出せて、みんなが戻ってきたら元のところに戻ったという感じで。まだシーズンは長いので、また上がりたいです」と全てを受け入れ、消化している。オズボーン監督は、3Aから2Aに戻ってくるたびに、降格は成績の問題ではないと加藤に説明するという。ヤンキース入団から6年。数字が上下しても、自分自身のメンタルは上下しない。強さを磨いてきた。

 3Aで逆方向へのホームランを連発した加藤は「前から逆方向に球を打つのが得意な方だったんだけど、今まではマイナーの球を使っていたので、ちゃんと打ってもあまりパワーがなくてレフトフライがすごく多かったんですけど、今年は3Aでメジャー(公式)球になって、球もすごく飛ぶようになったので、レフトフライがホームランになったという結果です」とボールの違いが大き語っと自己分析する。さらには、打撃は運で左右される部分があるとも話していたが、3Aで5月中旬までに残した成績は、運だけで出せるような数字ではない。加藤の能力をヤンキース首脳陣も改めて再確認したはずだ。

「ちょっとずつニューヨークに近づいている気がします」

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