リーグ内格差や選手待遇、SNSで契約決定!?  元ヤクルト右腕が語る海外リーグ事情

大学日本代表でオランダへ来た辰己涼介(右から2番目)と中島彰吾氏(右端)【写真:(C)PLM】
大学日本代表でオランダへ来た辰己涼介(右から2番目)と中島彰吾氏(右端)【写真:(C)PLM】

海外は携帯に契約書が送られ、直接会うことなく契約を結ぶことも…

 海外野球って日本と比べてツテによるアドバンテージが大きいんです。それをどれだけ持っているかによって、次のチームに行けるかどうかは決まってきますね。私の場合は、知り合いの人がブルーソックスの監督さんと仲が良くて、そのツテでした。どういう選手かというPRを動画で送ったりもします。自分のプレーを撮影して送ることは、海外だと結構多いですね。それでチームが興味を持ってくれれば、オファーしてくれるので、自己アピールするような人も多いです。

 海外野球は、契約もすんなり決まります。日本は球団へ行って契約書にサインをする形ですけど、海外の場合は契約書を携帯に送ってくれるんです。選手に直接会うことは少なく、Facebookとかで連絡を取り合って契約が決まったりもしますね(笑)

 海外では本当に色々考えましたね。日本の野球ってビジネス的な要素が強いじゃないですか。強ければ強いところほどお金を稼げる分、厳しい世界で。野球本来を楽しむっていうよりは、結果に追われ、そこに楽しみを求めてしまう。海外に行ってからは、結果や周りの目、コーチがこう監督がこうって追われることなく、自分がこうしたいからこうやるんだと、本当の意味で楽しく野球をやれました。純粋に成長したいというか、野球をする一人間としてすごい楽しめている。野球に対しての考え方がオープンになったし、生きている実感が湧きました。

 引退の理由は、自分の限界を感じたからです。最後にMLB挑戦しようと思って、アメリカのトライアウトを受けました。メキシコかメジャーリーグからお誘いがあったらプレーしようと考えていたけれど、どちらからもオファーがなかったんです。そこから年齢や肉体的にも、自分がプロとしてもう一度活躍する姿が想像できなくなって。

 他国からのオファーや、アマチュアからのオファーはあったんですけど、自分がそこに行ってもう1年、もう2年野球して、何が残るか考えたときに何も残らない気がしたんですよね。もちろん野球するのは楽しいですけど、早めに別の道へ進んだほうが絶対に良いと思ったんです。野球にしがみついている自分が実はダサいというか。そう考えたときに新しい道で第2の人生として歩みだしたほうが人生って面白いのかなと思って。イチローさんが引退すると同時におれも野球やめようみたいな感じです(笑)

中島彰吾(なかじま・しょうご)投手
福岡大学から2014年育成ドラフト1位で東京ヤクルトに入団。プロ2年目の2016年5月2日に支配下登録をされ、一軍のマウンドも経験したが、思うような結果は残すことができず、2017年10月3日に戦力外通告を受けた。その後はオランダの、デ・フラスコニンフ・ツインズ、オーストラリアのシドニー・ブルーソックスでプレーし、2019年に現役を引退した。

NPB通算:5試合0勝0敗 7.2回 5奪三振、防御率10.57

(「パ・リーグ インサイト」東海林諒平)

(記事提供:パ・リーグ インサイト

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