ロッテ鈴木、好調を支える試合前の“特別な練習” 「朝起きて歯磨きをするのと一緒」

すでに自己最多の12本塁打をマークするなど好調を維持

「山なりになりすぎると、目線が上を向いてしまうので、それが嫌なんです。でもある程度緩いボールでないとタイミングが取れない。山なりになりすぎず、球が速くなりすぎずと結構、僕が注文を多くしてしまっているんですが、それに応えてくれているのでありがたいです」と、その意図を語り、難しい注文に応える打撃投手にも感謝していた。

 緩いボールを打つことにも大きな意味がある。

「この練習は低いライナーで、ドライブ回転せず、なおかつスライスもしすぎないように、フワーっと回転よく伸びていく打球を、バランス良くセンターへ打ちたいという意図でやっています。速いボールだと手先で打ててしまうんですが、遅いボールだとしっかり足を使ってじゃないと強い打球が打てない。そういうことを含めて、なんとなくこの形に行き着いたという感じです」

 さらに三塁側のネクストバッターズサークル付近で、この練習を行っていることにも意味があるのだという。

「あそこから打ったら、左に行き過ぎると(三塁側のファウル)スタンドに入っちゃうんですよね。ちょうど、打席からセンター方向だけにヒットゾーンが見えるので、そこを目標に打ち返すっていうのもあります。逆に振りすぎてしまうと、(ネットや打撃ゲージが置いてある)右へ行ってしまいますし、かと行って力みすぎて変なバランスで打っていたら、三塁側スタンドに入ってしまうので」と、打球方向が限定されることで、自身が思い描く「センター方向への回転よく伸びていくライナー」の意識を強く持ちながら、打球を飛ばせるというわけだ。

 今季既に自己最高の12本塁打を放つなど好調を維持している。この練習の効果について「正直、分からないです。ただ、自分の中では朝起きて歯磨きをするのと一緒で、ホームの時はこの練習をやると決めていますし、その中で前日だったり、当日の状態で意識やイメージを変える微調整の場でもあります。(全体で行う)通常の打撃練習では、その時間が取れないですし目的も違うので、やはり自分の時間でのそういう(微調整の)部分を大切にしようと思ってやっています」と、自らの状態を確認、調整する大切な時間となっている。

「1日1日、できることを大切に」と、積み重ねてきた結果、レギュラー再奪取。6月には自身初の月間MVPを受賞したほか、7月16日には通算1000試合も達成した。これからも自身と向き合いながら、日々できることを継続していく。

(岩国誠 / Makoto Iwakuni)

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