最も長~い放物線を描いたのは誰? パ・リーグ強打者の滞空時間トップ5を公開!

西武中村がソフトバンク高橋礼から放った一発は滞空時間7秒05

○2位 若い頃の打球を思わせる中村剛也内野手(西武)の一発

 堂々2位にランクインしたのは、35歳とベテランの域に入りながらも、勝負強さで存在感を示し続ける「おかわりくん」こと中村剛也内野手(西武)。滞空時間は7秒05だった。今季、台頭著しいソフトバンクのアンダースロー・高橋礼投手が地面スレスレからリリースした球をこすり上げるように振り抜いた打球は、フワーッとした感じで高々と上がり、ヤフオクドームのホームランテラスを越えてレフトスタンド最前列に到達した。

 中村は、パ・リーグ本塁打王6度というレジェンド級の実績を誇る。2016年以降は、3年連続で本塁打数20本台に留まり、4番の座を山川穂高選手に譲って久しいが、まだまだ、第一線。全盛期に本塁打を打ちまくっていたときは、ボールを完璧にとらえて「どこまで飛んでいくんだ?」と唸らされる打球が多かったが、実は2005年に22歳の若さで22本塁打を記録した最初のブレイク時は、今回のようなこすった打球が高々と上がってスタンド前列に落ちるホームランが多かった。その意味で、中村特有の柵越えテクニックは、健在であると再認識した。

 確かに、以前より力強さは落ちているのかもしれない。だが、この独特の舞い上がる本塁打が出たということは、「ホームランを打つ」という点において、一時期よりも持ち直しているのではないだろうか。

 今年は、無駄な力みのまったくないスイングが多く、巧さや勝負強さの方が目につくようになった中村選手だが、今一度、ホームランを「おかわり」するくらい連発するようになって、再び30本台に乗せてくれることを願っている。

○番外編もブラッシュ外野手、浅村栄斗内野手は計測不能!?

 ここで第1位の前に、「番外編」を紹介しよう。高く上がった打球の対極となる「もっとも低い弾道」によるライナー性のホームランを打ったのは誰だったのか? なんと、ここにもブラッシュが登場してきた。スタンドに突き刺さるまでのタイムは3秒01。ただし、低い弾道は、年によって2秒台が出ることも少なくない。この記録については、他の選手が塗り替える可能性が十分ある。

 そして、もうひとり規格外なのが、今季、FAで西武から楽天へ移籍した浅村栄斗内野手の場外弾だ。当然のことながら計測は不可である。

 浅村は、今季は故障で戦列を離れている柳田悠岐外野手(ソフトバンク)とともに「体がねじ切らんばかりのフルスイング」が象徴的なスラッガーで、レフト方向、センター方向へそれぞれ遠くに飛ばせるツボを持っている。現在は、多くがそのツボにハマった打球がホームランになっているが、逆にいえば、完璧にとらえないと本塁打になりにくいともいえる。

 こすったような打球でも、長い滞空時間を経て柵越えに至るようなホームランがもっと見られるようになれば、打球角のバリエーションが増えて、本数がもっと多くなるかもしれない。そんな進化をとげる姿を、いずれぜひ見てみたい。

○1位 いま旬の「どすこい」山川穂高内野手

 栄えある1位となったのは、再びこの男、山川だった。滞空時間は7秒13。西武の本拠地・メットライフドームの天上まであとわずかというくらい高く上がった弾道だ。

 ところが、山川恒例の「どすこい」パフォーマンスはやや控えめで淡々としたものだった。この試合では、すでに本塁打を1本打っており、これが2本目。しかも、チームが3点差で勝っている状況から4点差に引き離すという、あまり劇的感のない状況による本塁打であったからだろう。

 だが、この日観戦にきたファンは幸せだ。1年にそう何度も見ることができない7秒超えの美しい本塁打を目撃できたのだから。最終的に西武は9-2と広島に快勝したが、その喜び以上に貴重なシーンを目にした証人である。観戦に訪れていたファンの方々は、ぜひそのことを覚えておいてほしい。

 今年、異常なまでに長く続いた梅雨は、7月の終わりになってようやく明けようとしている。これからの季節は、いよいよ夏本番。湿ったバットが乾く時期を境目にして、本塁打を連発する選手も出てくるだろう。

 ゾーンに入っている時期というのは、極端な話、どんな打球になってもスタンドに届いてしまうことがある。そういう選手が出現したときは、山川の7秒13をさらに凌駕するような長い滞空時間のホームランを目撃できるチャンスになるだろう。この夏、もっともっと特大の一発が出ることを期待している。

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