オープニングR全勝突破の侍ジャパン、強さの理由は…初の世界一へ“追い風”も
全試合で初回に先制、1度もリードを許さない圧倒的な強さのキーマンとは?
怒涛の5連勝だった。26日のチェコ戦は21得点の快勝発進。先頭の赤澤が二塁打で緊張を破ると、初回から7得点。投手も4人の継投で開幕戦を1安打完封勝利で飾った。27日は野球大国キューバに6-0で勝利。相手のミスを見逃さず6安打で6得点を奪い、投手陣は連夜の完封で締めた。
最大のヤマ場は28日。3大会連続準優勝の地元チャイニーズ・タイペイ戦だ。地元ファンの大声援で圧倒的アウェーの空気感を小さな侍たちが一掃した。初回先頭の赤澤が四球で出ると、1死三塁から林がセンター前に弾き返して先制。さらに高橋昇聖(北上ゴブリンズ)の2ランでいきなり3点を奪う。3回には高橋の2打席連発で5点リードとし、それを投手陣が守りきり7-4で勝利。仁志敏久監督も「すごく気合いが入っていた」と唸る会心の勝利だった。さらに29日はスタメン8人を入れ替えながらフィジーに30-0で大勝。そして、南アフリカ戦も快勝で締めくくった。
侍ジャパンは5試合全てで初回に先制。その後、1度もリードを許さない“横綱相撲”で勝ち上がった。チーム全員が好成績を残しての結果だが、仁志監督がオープニングラウンドを通して称賛し続けている選手がいる。1番の赤澤だ。1番として出場した4試合全てで初回に先頭で出塁し、自慢の快足を生かして必ずホームに帰ってきている。指揮官は「勇気を与えてくれる」と、切り込み隊長がチームにもたらす勢いに手応えを感じている。
さらに、仁志監督はオープニングラウンドを振り返って「キューバに上手く勝って、チャイニーズ・タイペイにも良いゲームをした。子供たちにはそこがヤマになるって話はしていた」と、ともにオープニングラウンドを突破した2チームに勝ったことが大きいとした。これには理由がある。スーパーラウンドではグループBを突破してきた韓国、メキシコ、ベネズエラとのみ対戦し、チャイニーズ・タイペイ、キューバとの対戦成績はそのまま引き継がれる。そのため、同グループの2チームに勝利している日本と韓国がスーパーラウンド開始時点で優位な立場にいるのだ。さらにグループBでは3大会連続優勝中の米国がまさかの敗退。初の世界一へ向けて、日本に追い風が吹いている。
そのスーパーラウンドでは、1日にベネズエラ、2日に韓国、3日にメキシコと対戦する侍ジャパン。強豪国との3連戦となるが、チームの雰囲気は良い。悲願の世界一へ、まずはスーパーラウンド上位2か国だけが進出できる決勝の舞台を目指す。
(工藤慶大 / Keita Kudo)