侍・仁志監督絶賛の“切り込み隊長” 母は「野球になると目も合わせてくれない」
出場した4試合全てで初回先頭出塁&自慢の快足を生かしてホームに生還
侍ジャパンU-12代表は、台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」でオープニングラウンドを5戦全勝の首位で突破。5試合全てで初回に先制し、1度もリードを許さない圧倒的な強さでスーパーラウンドに進出した。
悲願の初優勝に向け、3大会連続でU-12代表の指揮を執る仁志敏久監督のチームで不動の“切り込み隊長”として躍動するのは、オープニングラウンド5試合中4試合に1番で出場した赤澤琉偉(八尾中央ボーイズ)。出場した試合全てで初回に先頭で出塁し、自慢の快足を生かして4度ともホームに帰ってきた。
指揮官は「他の選手は周りを気にしながらやったりする子が多いんですけど、あの子はゲームに入ると自分のパフォーマンスにすごく集中している」と語る。「赤澤が塁に出るとみんな勇気をもらえるようで」。1番打者としてチームに精神面で好影響を与えている。
赤澤をスタンドで見守る母・友理恵さんも、息子の野球に対する集中力は凄まじいと笑顔で明かす。
「すごく負けず嫌いで、野球になると周りが見えなくなる。野球が大好きで、野球しかないんですよね。他に好きなこともない。野球以外のときはお調子者でふざけるのが大好き。でも野球になると別人になって、目も合わせてくれない」
低学年のころは母とキャッチボールをするくらいだったが、3年生の時に野球を習いたいと言い出したという赤澤。「ちょっとまだ早いからあと1年我慢しよう。それでもやりたい気持ちがあるんだったらやらせてあげる」。当時はルールもわからなかったため、友理恵さんがこう説明すると、4年生のときに「1年経ったぞ」と本人から言ってきたため、地元のチームに入れた。一からのスタートだったこともあり、最初はずっとベンチ。だが、5年生から試合に出始め、どんどんと力をつけてきた。
侍ジャパンの不動の“切り込み隊長”にまで成長した息子に母は「これは挑戦というか、何でも経験したらいいと思って応募したんです。まさかこんなところまで来られるなんて思っていなかったんです」と話す。1日からのスーパーラウンドではベネズエラ、韓国、メキシコと強敵との3連戦となるが、赤澤が先頭で塁に出る限り、侍ジャパンの快進撃は続く。
(工藤慶大 / Keita Kudo)