韓国撃破の侍・高橋、絶体絶命の危機脱出で初の決勝進出「とても嬉しかった」
同点の最終回に大ピンチも…仁志監督がマウンドへ「そんなに難しいことは言っていない」
侍ジャパンU-12代表は3日、台湾・台南市で行われている「第5回 WBSC U-12ワールドカップ」のスーパーラウンド第2戦で韓国に劇的なサヨナラ勝ち。前日に1-4の3回途中で雨天サスペンデッドとなっていたゲームを8-7の逆転で制し、初の決勝進出を決めた。劣勢を跳ね返した“小さな侍”たちの奮闘が光った。
3点ビハインドの3回途中から再開した一戦で、日本は4回に2点を奪い1点差に。5回には1点を追加されたが、その裏に再び2点を奪い、試合を振り出しに戻した。
勝利への大きなポイントとなったのは、同点で迎えた最終回の6回。5番手の高橋昇聖(北上ゴブリンズ)が無死二、三塁のピンチを背負うと、仁志敏久監督がマウンドへ。巨人、DeNAでプレーし、1996年に新人王、99~02年に二塁のゴールデングラブ賞に輝くなど現役時代に数々の修羅場をくぐってきた指揮官が高橋に声をかけた。
「そんなに難しいことは言っていない。難しいことを考えないで、自分の力でバッターを抑えるというつもりでいきなさいという話をしました」
仁志監督はこう振り返ったが、相手の勢いに飲まれそうになっていた高橋の心を落ち着かせるには十分だった。
「緊張してヤバいって焦ったんですけど、監督のタイムで落ち着けた。気持ちをリセットしてしっかり投げられて3アウト取れたので、とても嬉しかったです」
後続を遊飛、右飛、中飛に仕留めて無失点。その裏の日本の攻撃も0点に終わり、タイブレークの延長戦に突入すると、日本は2点をリードされたものの、その裏に3得点で逆転。先頭・高橋の右翼への2点適時打で一気に同点とし、最後は川下晃汰(諫早ボーイズ)の一ゴロで三塁走者の高橋が生還。宿敵に劇的なサヨナラ勝利を飾った。
試合後、仁志敏久監督は「1回劣勢になってそれを跳ね返したのはすごくよかったと思います」と大逆転で重要な試合を制した選手たちを称えた。ダブルヘッダーで行われたメキシコ戦では3-8で敗れて初黒星を喫したが、7勝1敗と圧倒的な強さを見せて初の決勝へ。第1回大会で優勝し、その後は3大会連続で準優勝に輝いている強豪の地元チャイニーズ・タイペイを破り、悲願の世界一へとたどり着く。
(工藤慶大 / Keita Kudo)