世界一の球団を目指すホークス、影で支える“裏方”の存在【パお仕事名鑑Vol.1】

ソフトバンクの球団統括本部、チーム戦略室に所属する須山晃次さん【写真:パーソル パ・リーグTV】
ソフトバンクの球団統括本部、チーム戦略室に所属する須山晃次さん【写真:パーソル パ・リーグTV】

アメリカで感じた日本との差「何が違うのか、どう成り立っているのかを知りたい」

 そう、社会人まで続けた野球を辞めた後、須山さんはアメリカへと渡り、新たなページを開いていく。きっかけは、社会人で所属していたチームの突然の廃部だった。

「プロには行けそうにもなく、でも自分の中では会社に残って働くという選択肢はありませんでした。そのころ、日本人選手の活躍もありMLBの中継が日本で当たり前のように見られるようになった時期で、野球だけではなく他のアメリカのスポーツも見られるようになりました。それを見ていてなにか漠然と日本との差を感じたんです。ちょうど球界再編の時期、プロ野球も社会人野球もチームがなくなる。アメリカは盛り上がっている。何が違うのか、どう成り立っているのかを知りたい。それなら、大学院に留学してスポーツマネジメントという学問をしっかり学んだ方がいいと思い立ちました」

 決断から実行までは早かった。インディアナ州の大学院に留学し、スポーツに関わる歴史、ファイナンス、マーケティング、法律など、スポーツという切り口で多くのことを体系づけて学んだ。現場で働くゲストスピーカーの方々の話も有益だった。さらに実学を重ねていく。マイナーリーグ、シングルAでのインターンだ。

「インターンは留学する際の目標でもありました。学問だけでなく実体験をしたい。サンフランシスコ・ジャイアンツの傘下でジョージア州オーガスタにあるチームでしたが、シングルAぐらいだとなんでもやるんですよ。チケットのもぎり、花の水やり、子どもたちが遊ぶ遊園地やレストランの設営や掃除。この仕事がどこにつながっているのかはわかりませんでしたが、良き体験でした」

 当時は将来へのつながりは見えなくとも、今、振り返れば、球団の仕事の幅広さを体感したことはかなり役に立っていると須山さんは実感している。その後のキャリアはエージェント(代理人)業からデータ分析の世界へ。

「ロサンゼルスのエージェントオフィスに所属しました。日本にもオフィスがあって、日本でのビジネスを広げようと考えていたんですが、日本では当時、代理人制を認めない、制約が多いなどビジネスにはなりにくかったんです。そこに固執していても……と思っていた時。08年ですが、スマホが出始め、スポーツとデータの連携が注目されて、そちらの方がビジネスとしての先があるなと考え、そこからデータ分析システムのビジネスを10年。一貫して野球のビジネスはやってきましたね」

 選手、留学、インターン、エージェント、そしてデータ分析ビジネスと多岐にわたるスキルを得てきた須山さん。その体験から導き出す、スポーツビジネスを目指す上で必要なスキルやマインドはどんなものなのだろうか?

妥協のないホークスのチーム作り「“めざせ世界一!”」

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