明石商・中森、絶妙だった変化球の使い方 データで楽しむ夏の甲子園【6日目・第3、4試合】

明石商、外角攻めにコツコツ対応してシーソーゲームを制す

○明石商4-3花咲徳栄

【明石商】
打率.300 OPS.777 wOBA.413
O-swing% 14.0% Z-swing% 63.9% Swing% 43.4%
O-contact% 42.9% Z-contact% 93.5% Contact% 86.8%
Zone% 59.0% SwStr% 5.7%

【花咲徳栄】
打率.188 OPS.538 wOBA.278
O-swing% 34.8% Z-swing% 60.9% Swing% 48.1%
O-contact% 65.2% Z-contact% 88.1% Contact% 80.0%
Zone% 50.4% SwStr% 9.8%

【明石商・中森俊介投手】
9回 打者数36 投球数135
WHIP 1.00 P/IP 15.00 GB/FB 1.08
ストレート 46.7% スライダー25.2% チェンジアップ16.3% フォーク8.1%
Zone% 50.4% 空振り率 9.6%

【花咲徳栄・中津原隼太投手】
6回 打者数2 投球数91
WHIP 1.50 P/IP 15.17 GB/FB 2.14
ストレート68.1% スライダー20.9% シュート7.7%
Zone% 56.0% 空振り率 5.5%

 シーソーなら6回ほどギッコンバッタンと揺れるほどの、まさにシーソーゲームを繰り広げた明石商と花咲徳栄ですが、打撃指標で見ると大きく明石商に傾いていることが分かります。

 花咲徳栄の投手陣は70.5%もの割合で外角に球を集中させ、アウトサイドの球の出し入れで揺さぶりをかけようとした様子が伺えます。しかし明石商打線はO-swing%「14.0%」とボール球に手を出さず、空振り率も5.7%とコツコツ当てて応戦してきました。5回以降、得点に絡んだヒット6本のうち5本は外寄りのストライクゾーンに入ったボールをしっかり打ち返していました。

 明石商の中森投手は多彩な球種で、花咲徳栄打線を被打率.188に抑えました。チェンジアップでは18.2%の空振りを奪取。さらに7回、本塁打で同点に追いつかれた後、この試合2安打と好調だった2番打者、橋本選手に3球フォークで空振り三振を奪うなど、勝負所での変化球の使い方が絶妙でした。

鳥越規央 プロフィール
統計学者/江戸川大学客員教授
「セイバーメトリクス」(※野球等において、選手データを統計学的見地から客観的に分析し、評価や戦略を立てる際に活用する分析方法)の日本での第一人者。野球の他にも、サッカー、ゴルフなどスポーツ統計学全般の研究を行なっている。また、テレビ番組の監修などエンターテインメント業界でも活躍。JAPAN MENSAの会員。近著に『統計学が見つけた野球の真理』(講談社ブルーバックス)『世の中は奇跡であふれている』(WAVE出版)がある。

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