「調子が悪い時も含めて実力」―大谷翔平が11戦連続安打に感じる手応え
「凄い調子がいいという感じはしない」ながら今季8度目の猛打賞
■レンジャーズ 3-2 エンゼルス(日本時間21日・アーリントン)
エンゼルスの大谷翔平投手は20日(日本時間21日)、メジャー移籍後初のダブルヘッダーに臨んだ。とは言うものの、3試合ぶりにスタメンを外れた第1試合は代打としても出場はなし。「3番・DH」で臨んだ第2試合には3安打を放ち、今季8度目の猛打賞で11試合連続安打として自己最多を更新した。
この日は快足を飛ばして奪い取った三塁内野安打、外角球をバットの先で運んだ中前打、追い込まれてからの内角球に反応して右手1本で右翼線へ深くへ飛ばしたタイムリー二塁打と、バラエティに富んだ3安打となったが、いずれも決して会心の当たりではなかった。連続安打記録が続く11試合は47打数21安打、打率.447と大当たりだが、試合後に「凄い調子がいいという感じはしない」と本音を漏らした。ただ、その後に「それでもヒットになってくれているのはいい傾向かなと思います」と手応えに近い言葉を続けている。
なぜ、いい傾向だと感じているのか。
野球のシーズンは長い。メジャーは1シーズンで162試合を戦う中、投手も野手も誰もが好不調の波を経験する。タイガースやマーリンズで指揮を執り、第4回WBCで米国を初優勝に導いたジム・リーランド氏は以前、「いい投手と一流の投手の違い」について「一流の投手は調子が悪い時でもチームに勝機を与える術を知っている」と話していたが、打者もまたしかり。状態が良くない時でも結果を残すこと、勝利につながる打席を送ることが一流の証と言える。
大谷は「凄い調子がいいという感じはしない」中でも、11試合連続安打と結果を残している。「調子が悪い時も含めて実力じゃないかなと思う。波があるのがシーズンですし、それをどうやって小さくしていくのかも経験じゃないかなと思います」と話すように、結果を残しながら好不調の波を調整できるようになりつつある点に、成長の手応えを感じているのだろう。
この日を終えて打率は.307となり、7月4日敵地レンジャーズ戦で記録した今季最高打率.310まで、あと一息と迫る。今季通算も99安打となり、メジャー初のシーズン100安打に王手をかけた。打者一本に専念する今季、どこまで多くの経験を積み重ね、どこまで成長の歩を進められるか。打者・大谷が今後大きく羽ばたく上でも、今シーズンの成長が大きな鍵を握ると言えそうだ。
(佐藤直子 / Naoko Sato)