西武27歳新人・森脇、プロ入りを後押しした愛妻の言葉「あんたの人生や」

セガサミー3年目に引退も覚悟「野球を上がった人に『どんなことするんですか』って聞いてました」

 結局、この年のプロ入りは叶わなかった。ストレートには自信があったため、3年目は変化球を磨こうとしたが、これもいい結果には繋がらなかった。

「真っ直ぐを待ってる中で、取ってつけたような変化球でも最初は打ち損じてくれていました。でも『こういう球もある』というデータが入った瞬間に、全部打たれるか見逃されました。3年目は試合でほとんど投げられず、ピッチングコーチに『今年でクビになるかもしれない』と言われました」

 3年目の日本選手権予選ではベンチに入ることもできず、引退を覚悟した。それからは、週に1回の出社日に率先して電話を取り、電話対応の仕方や名刺交換のマナーを学び、社業に就く日に備え社会人としての基本を身に付けた。

「野球を上がった人に『どんなことするんですか』って聞いて回っていました。日本選手権の予選で負けた後、誰が引退するのかそわそわしていたんですが、面談で『真っ直ぐをもっと磨け』と言われて『来年も野球ができるんだ』と思いました」

 結果を出せなかったらクビだと覚悟して臨んだ4年目。自分が1番自信がある真っ直ぐをもう1度磨こうと決心した。練習に格闘技を取り入れるなど試行錯誤を繰り返し、都市対抗予選直前に手応えをつかんだ。

「ストレートの球威が伸び、予選ではほとんど点を取られませんでした。覚悟をもってやった年、今までとは違う気持ちでやった1年が、結果につながりました」

 都市対抗ではチームをベスト4に導く活躍を見せ、この年のドラフトで西武から6位指名を受けた。すでに結婚し2児の父親でもあったが、奥さんは「後悔しないようにしてほしい。あんたの人生や」と、背中を押してくれた。

 ここまで中継ぎとして29試合に登板し、5月15日のソフトバンク戦ではプロ初勝利も挙げた。それでも、試行錯誤の毎日だ。

「プロではボール球は全然振ってくれないし、いいところにいっているボールでもファウルで逃げられるか、内野の間を抜かれてヒットになる。さすがだなと思います。プロで生きていくためには、どれだけいい真っ直ぐを投げられるかが大事だと思っています」

 変化球に逃げ、自らのピッチングを見失った社会人での経験が生きている。「社会人を4年やってプロに入ったことには意味があると思っています」。力強くそう話す27歳のルーキーは、大事な場面を任せてもらえる投手を目指し、直球に磨きをかける。

(篠崎有理枝 / Yurie Shinozaki)

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